恋はやがて泡になる。【灰谷蘭】 (ページ15)

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15.灰色の日常はページ15

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竜胆「…スマン」

俺と目が合った竜胆は、状況を察したのか

そそくさと教室から出て行った。

蘭「…はぁ、」

何やってんだ、オレ。

早まるにも程があるだろ。

先ほどのことですっかり我に返り、脱がしかけていた制服から手を離して

秋吉からも距離を取った。

『…蘭、くん』

蘭「なに？続きしてほしかった？」

『そっ！？そうじゃなくて。…駄目ですよ、こんなこと。
　普通の女の子は勘違いしますよ。』

もじもじしながら顔は赤いまま、いそいそと制服のボタンを留めていく。

勘違い…ねぇ。

蘭「お前も勘違いした？」

『私は、そこまでおこがましくありません。』

蘭「…あっそ。」

何だよ”おこがましい”って。ウケるわその台詞。

「はは…」と自分の口から無気力に洩れた笑い声。

オレ、なにしてんだろ。

【灰谷蘭】

この名前と顔があれば、大抵の男は身を引いて大抵の女は寄って来る。

そんな毎日はそれなりに平和で、それなりにつまらなくて

灰色そのものってカンジ。

けれど、同じような日々を過ごすのは楽だった。

蘭「…………」

地面に向けていた視線を秋吉に移す。

…コイツと出会ってから、何かが違う。

じっと俺を見つめる瞳は、いつだって俺の内側を溶かそうとしているようで

まるで逃げられない。

蘭「秋吉、好きな奴いんの？」

『…います』

何気ない質問だった。

秋吉のことだから「初恋もまだなんです～」なんて笑える返答をもらえるかと思いきや

目の前のコイツは再び顔を赤くして、俯きながらそんなことをほざいた。

鈍器で頭を殴られたときって、こんな感覚か？