13.引力 ページ13
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『蘭くんっ！今日は来たんですね！』
空き教室へ入るなり聞こえたのは、秋吉の嬉しそうな声。
２週間ぶりに見るソイツは、少し瘦せているように見えた。
蘭「それはこっちの台詞だバカ。連絡しても返信ねーし学校にも来ねぇし」
不機嫌さを前面に出して悪態をつく。
それは余裕の無さの表れでもあった。
他の女ならすぐに切ってたぞ。
連絡が帰って来ないと𠮟ったのなんか今までで竜胆くらいだ。
『へ？！連絡？？』
蘭「メール送ってただろうが。俺様のメール無視すんのなんかお前くらいのもんだぜ？」
『すみません…携帯、最近買ってもらったばかりでまだ使いこなせってなくって…』
蘭「ちょっと携帯貸せ。」
俺は秋吉から携帯を奪い、受信メールの見方から返信の仕方まで事細かく教えてやった。
コイツにはもうメールじゃなく電話してやる方がはやいな。
一通り説明してやり、ため息をついていると
隣の椅子に座った秋吉がじっと俺の方を見ていた。
蘭「何？」
『…蘭くん、今日は三つ編みじゃないんですね』
蘭「あー、何？三つ編みのが好き？」
今日は三つ編みをする時間を省き、高い位置で髪を一つにまとめていた。
垂れ下がってくる前髪が鬱陶しい。
『いえっ！どっちも好きなんですけど…なんかいつもと雰囲気が違くてびっくりして』
蘭「フーン。」
秋吉の膝に手を添えて顔を近づけると、また一つ前髪が垂れ下がって来た。
『…あ、の蘭くん…顔、近いです』
蘭「近いね。」
みるみるうちに顔を赤くしていく秋吉の唇が、フルフルと震えている。
どんだけ緊張してるんだよ。
さらにからかいたくなった俺は、もっと顔を近づける。
こうやって近くで見ると、案外まつげが長い。
ぱっちりとした目に真っ赤な頬。
鼻と鼻が触れそうな距離まで近づいたとき、ソイツは耐えかねたのか自ら離れようとした。
けれど、俺はそれを許さない。
『…っぁ！？』
秋吉の後頭部を左手で掴み、その唇に吸い込まれるようにキスをした。
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作者名：平
| 作成日時：2021年11月24日 14時
