32 『そりゃそうだ』 ページ32
.
「別にィ、どうもこうもねェよ。そいつが突っかかって来たから、ちょイと遊んでやっただけだ」
「顔面を地面に叩きつけるのが、お遊び?」
「……、あァ、本ッ当姉はクソ真面目だなァ! 悪かった、謝ンよ!」
ぐしゃぐしゃとただでさえぼさぼさな髪を掻き混ぜる榊原。榊原は年下のカナエがどうも苦手だった。おちゃらけた調子を狂わされるというか、正常に戻されるというか、とにかくこの雰囲気のカナエには勝てなかった。
カナエはそんな様子の榊原を見て、頭をやれやれと振る。
そして少女に手を差し伸べ、聖母のような笑みを浮かべて「大丈夫?」と優しく問い掛けた。
「大丈夫じゃ……、ねえ。頭、クソ、痛てえ」
片言で言う少女に、そりゃそうだよね、みたいな微妙な空気が流れた。
そんな雰囲気を払拭しようと(姉の失言を挽回しようと)、しのぶは声を張り上げた。
「あ、貴方! まだ傷が癒えてないで……、というかどうやってその傷で此処まで来たの? え、待って本当に大丈夫じゃないわよね?」
「そう言ってんだろ……。それ、より。あんた、」
途中まで少女を責めようとして大声で怒ろうとしたしのぶだが、少女の服から血が滲みだしていることに気づき普通に心配してしまう。
少女は心配そうに声を掛けようとするしのぶを無視し、煉獄に向き直った。煉獄は正直マジでコイツやべえなと思った(意訳)。頭の何処かから出血しているのか、端正な顔立ちは血で薄汚れている。
「う、うむ!! どうした!!」と気が少しばかり動転した煉獄は声をいつも以上に張り上げ応答した。しのぶと榊原がうるささに顔を
「あい、あいつの……、墓。墓は。何処に、あるんだ」
「──」
煉獄がすっと表情を硬くした。眼光が鋭くなり、本人に睨んでいるつもりはないのにめちゃめちゃ睨んでいる絵面になる。榊原としのぶは突然の豹変に驚いた。カナエは体質を知っているので放置しておいた。
「……ああ、彼の墓は此処ではない。案内する」
.
290人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
白夜の世界(プロフ) - 内田さん» 応援ホントありがとう御座います……!皆様の心を動かせるような小説を書くために頑張ります!! (2020年4月15日 17時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
内田(プロフ) - はじめて読ませていただきました!すごく面白くて、少女ちゃんの生い立ち、すごく感動しました。これからも応援させてください! (2020年4月15日 16時) (レス) id: 2320622f76 (このIDを非表示/違反報告)
燐火 - 成程・・・。私の合作相手もそんな感じですよww (2020年4月14日 12時) (レス) id: 0a3e20f243 (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界(プロフ) - 燐火さん» えぇ、合作はしない主義ですね。自分がパソコンにかじりついていられる時間が非常に不定期ということやその他諸々ありまして……。 (2020年4月12日 8時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
燐火 - 白夜の世界さんって合作とかしないんですか? (2020年4月11日 16時) (レス) id: 0a3e20f243 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:白夜の世界 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nisui03101/
作成日時:2020年3月28日 16時