25 『意味のないもの』 ページ25
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目覚めには、いつも、痛みが伴う。
それは前日に蹴られたり殴られたりした処だったり、前日の行動で痛めた処だったり。ただ主な場合は、布にくるまることすらできずに寝ているので体中が痛くなる場合だ。寒さに凍えても、少年が来るまでは一人で耐えていた。少年が来てからは、二人で暖を取っていた。
翌日、二度と目覚めることがない子らを見つめて、絶対に死なないと誓ったことを覚えている。
何人も死んでった。何人も居なくなった。
だから、決めたことがあった。絶対に生き抜くこと。絶対に助け合うこと。絶対に居なくならないこと。
──今となっては、どれも、意味のないものに成り下がった。
＋ ＋
「──」
少女は、ゆるゆると瞼を開けた。寝惚けた頭で、ただ天井を見つめた。蜘蛛が巣食った天井ではなく、小綺麗に掃除されている天井だ。知らない天井だった。
それから体を起こさず、瞳だけで周囲を睥睨した。特に意志のない行動だったが、その行動には意味があった。少女が知らない場所だというのをはっきり頭は確認して、少女の頭の中の靄はすべて取っ払われた。
「──ッ！ ぉあ、痛ってぇ……」
飛び跳ねた少女だったが、体中の痛みに思わず呻く。言葉通り体中だったが、右腕と肩が特に痛い。何故、と一瞬疑問を持った少女だが、化物──否、たしか��鬼��とやらに攻撃されたのだと思い出す。
その部分を庇いながら、もう一度少女は辺りを見渡した。
自分が寝ている場所は、白い布が被せられた寝台だった。少女が見たことが無い構造だったが、西洋の言葉で��ベッド��というものだ。それに布団が被せてある。
それの横には、小さめの戸棚があった。上に花瓶があり、花が活けてある。生憎と、花の名前は分からないが。
寝台は他にもあったが、この少し広い部屋に居るのは少女だけだった。
窓は閉められているが、硝子越しに外の光景が見えた。
太陽は空高くという程ではないものの、もう上がっている。どうやら朝のようだった。
「──あいつは」
少女がぽつりと呟いたが、その答えは自分で持っていた。
「死んだんだよなぁ……」
ぅぐ、ひっく、という少女の嗚咽は、しばらく誰も居ない部屋に響いた。それに呼応するものは、何一つとしてなかった。
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白夜の世界(プロフ) - 内田さん» 応援ホントありがとう御座います……！皆様の心を動かせるような小説を書くために頑張ります！！ (2020年4月15日 17時) (
レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
内田(プロフ) - はじめて読ませていただきました！すごく面白くて、少女ちゃんの生い立ち、すごく感動しました。これからも応援させてください！ (2020年4月15日 16時) (レス) id: 2320622f76 (このIDを非表示/違反報告)
燐火 - 成程・・・。私の合作相手もそんな感じですよww (2020年4月14日 12時) (レス) id: 0a3e20f243 (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界(プロフ) - 燐火さん» えぇ、合作はしない主義ですね。自分がパソコンにかじりついていられる時間が非常に不定期ということやその他諸々ありまして……。 (2020年4月12日 8時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
燐火 - 白夜の世界さんって合作とかしないんですか？ (2020年4月11日 16時) (レス) id: 0a3e20f243 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白夜の世界
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nisui03101/
作成日時：2020年3月28日 16時
