19 『己がすべきこと』 ページ19
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鬼とは、と話しかけようとした少女だが思い改める。今煉獄は、命の駆け引きをしている真っ最中なのだ。邪魔してはならない。
そう察した少女は、左腕で少年の口を乱暴に掴み「少し黙っとけ」と告げる。「ふぁい……」と少年は涙目で頷いた。……なんか御免、と少女は心の中で謝った。
それから少年の肩を借りながら、徐々に後退する。
「鬼殺隊だとっ……！」
鬼は歯軋りした。今まで葬って来た鬼殺隊の隊員の強さとは一線を画す強さをこの男は持っている。ならば──、
鬼は嘲笑の笑みを浮かべ、震えながら鬼を見つめていた少年と目を合わせた。
視線が、絡み合う。
「っぐ……！？」
少年は突如として、胸を押さえながら倒れ込んだ。少年に肩を借りていた少女も、突然のことに対応できずに一緒に倒れ込む。「ど、どうした！？ おい、おい！？」と心配の声を上げる少女に、少年はハァハァと息を荒げ、困惑したように胸を押さえるばかりだ。
少年は着物の衿を開き、己の胸を見つめた。痩せ細り、白いその胸の部分に、痣のようなものがある。確実に今日までは──、今までは、無かった。
煉獄はそんな少年の様子を見て、奥歯を噛みしめた。
「──血鬼術か」
「ハハハッ！ ああそうだ、今おれとあのガキは血鬼術で繋がってる！ 俺が怪我をすれば、ガキも同じだけ怪我をする！ 俺が殺されても同じだ！」
ニヤニヤと圧倒的にクソな笑いをする鬼を見て、煉獄は殺意が膨れ上がる。救えないクソ野郎だこいつは。
だが、この鬼を殺せば、少なくともあの少年が死んでしまうことは確かだろう。
どうする。どうすれば良い。どうしたら少年と少女を助けられる。
──少女は泣きそうな目で少年を見つめていた。あの鬼とかいう奴の言ってることが本当なら、少年は、
「だ、大丈夫、だ。大丈夫だからな。あんな、あんな鬼なんざすぐぶっ飛ばしてやるから。安心してろ」
自分に言い聞かせるように、絶えず喋り続ける少女。
少年は己の胸に浮き出た紋様と、少女の顔と、煉獄の刀と、鬼の嘲笑を、順繰りに見た。そして、今己がすべきことを知った。
震える唇が、笑みをかたどった。
「ハハハァ！ そうだなぁ、まずはその刀を置け！」
「──」
煉獄は、鬼を見据えながら、刀を地面に──置いた。
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白夜の世界(プロフ) - 内田さん» 応援ホントありがとう御座います……！皆様の心を動かせるような小説を書くために頑張ります！！ (2020年4月15日 17時) (
レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
内田(プロフ) - はじめて読ませていただきました！すごく面白くて、少女ちゃんの生い立ち、すごく感動しました。これからも応援させてください！ (2020年4月15日 16時) (レス) id: 2320622f76 (このIDを非表示/違反報告)
燐火 - 成程・・・。私の合作相手もそんな感じですよww (2020年4月14日 12時) (レス) id: 0a3e20f243 (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界(プロフ) - 燐火さん» えぇ、合作はしない主義ですね。自分がパソコンにかじりついていられる時間が非常に不定期ということやその他諸々ありまして……。 (2020年4月12日 8時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
燐火 - 白夜の世界さんって合作とかしないんですか？ (2020年4月11日 16時) (レス) id: 0a3e20f243 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白夜の世界
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nisui03101/
作成日時：2020年3月28日 16時
