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「もう真選組の方達に迷惑をかけては駄目ですよ?」
目の前のテーブルに湯気の立つお茶と2本のみたらし団子を乗せた皿を置き、松は静かにそう言った。
「うぅ…はぁい……」
彼女は椅子に座りながらしょんぼりと返事をする。
しかし、
「いっただきまーす!!」
直ぐにコロっと表情をかえて置かれた団子を頬張り出した。
そんな彼女をみて松はふふっ、と上品に笑う。
「喉に詰まりますよ、日向?」
日向。と呼ばれた彼女は、にぃっと歯を見せてから更に団子を口に詰め込んだ。
甘過ぎないたれが口にふわっと広がる。
料理には作った人の性格が反映される、というのは本当だと彼女は思った。
このみたらし団子はいつ食べても、松のように優しく、温かい味がする。
とても懐かしく、遠い昔の出来事が蘇るようなそんな気持ちになった。
といっても、今の彼女に昔の記憶はない。
ある時を境にぱったりと途切れているのだ。
ふと気が付いたら雨の中に居て、
傘をさしながら自分に手を差し伸べてくる女性…松がいて。
『うちにいらっしゃい、お嬢さん』
その笑顔は妙に懐かしく、素直にその手をとっていた。
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いぬ(プロフ) - 大好きです!いや、もう本当に好きです。日向ちゃんの性格が可愛すぎるっ!これからも頑張って下さい! (2020年12月17日 6時) (レス) id: daed22b7fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:吉良 x他1人 | 作成日時:2015年1月9日 18時