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桂が到着してから数分後に現れた銀時は
松と高杉が並ぶさまを、目を見開いて見つめた。
「…アンタはやっぱり、先生と関係してるのか」
震えた声で銀時に問われた松はいつもの様に綺麗な笑顔を張り付けたまま答える。
「貴方達が慕い、先生と呼ぶ男…吉田松陽はわっちの父だります。」
「父……だと…?!」
桂と銀時は驚愕の顔を互いに見合わせた。
高杉だけが静かに煙を吐きながら、にやりと口元を歪ませている。
「父といっても初めて顔を見たのは河原で晒されていた生首でしたわ…愛した男を失った母は気を病み、わっちは1人で生きていかなくてはいけなくたった……そんな時ですわ。幕府転覆を目論む高杉様と出会ったのは」
ふふふと笑う松は、いつもの松ではない。
「家族を引き裂いた幕府に天誅を。父の仇の為にわっちは、高杉様が率いる鬼兵隊へのお手伝いを申し出たのです」
気前のいい美人な女将が営む江戸一の団子屋は、鬼兵隊の軍事資金を担う一翼だったのである。
開いた口が閉まらない桂。
銀時は苦々しく、言葉を発した。
「あいつは…日向は、知ってんのか…?」
日向の名前が出た一瞬、松の目が揺らぐ。
「あの子には何も…あの子は私にとって特別な子なの。あの子の前ではただの団子屋でいたいのです……」
松の顔にいつもの温かさが蘇る。
しかしそれも直ぐに冷め、松は顔を引き締めた。
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※「〜だります。」 → 「であります。」
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いぬ(プロフ) - 大好きです!いや、もう本当に好きです。日向ちゃんの性格が可愛すぎるっ!これからも頑張って下さい! (2020年12月17日 6時) (レス) id: daed22b7fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:吉良 x他1人 | 作成日時:2015年1月9日 18時