夜闇興信所～異界見聞録～ (ページ4)

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能面その肆ページ4

先輩に言われたとおり、動く能面を見た人をかき集めてきた。僕を含む４人を集めてきた。ふと見ると、見知った顔がそこにあった。「あ、はく～。久しぶり。」と声をかけてきたのは、中学生時代に先輩の興信所で一緒になった井水春である。元気でよくしゃべる。先輩も「耳障り。」と言うほどよくしゃべるのだが、彼女は僕と先輩同様、霊感があるようで、彼女があんまりしゃべらなくなった時やカラ元気を出したりしているときは、近くに霊がいたり危ないところだったりするので、分かりやすく、よく僕とペアになって捜査に当たったりしている。だが、彼女は、僕と同じ学校だが、寮生ではないはず。一体どういうことだろう。取り敢えず、先輩が待っている宿直室に向かった。コンコンとノックをすると、「開いてるよ～。」と間の抜けた声が返ってきた。僕はいつも通り、「分かってますよ。」と言い部屋に入ると、沢山の写真がばら撒かれていた。

琥珀「連れてきましたけど、何でこんな散らかってるんですか？」

翡翠「うん、そう？まぁ、来るまでの暇つぶしだからね。」

琥珀「この写真、何です？」

翡翠「ぜ～んぶ、オーブ写真。」

琥珀「げっ。」

翡翠「ん？連れてきたのか。さてと、始めるか。」

琥珀「先に片づけてください。」

オーブ写真の山を片づけた後、まず、３年生の先輩である南先輩の話から。

南「最初見たのが、去年だったんです。最初は、あの、勉強中の時、深夜トイレに行きたくなって、部屋を出たんです。で、トイレに行くときには、お面の方に行く道と中庭側の方の道があるんですが、お面側の廊下が近いんでそこを通ったんです。そしたら、面が落ちたんです。」
で次は二年生の誠也先輩。

誠也「お、おれの場合は、三ヶ月前、友達の家に行った時に寝てた友達の一人が、『落ちた!!俺が、お面!!』みたいなことを言ったんすよ。で、また寝て。で、寮に帰ったら、能面落ちてたんス。」

そして、井水春。

春「えーと、アタシの場合は、ドアの前で能面が落ちてたぐらいですかね。」

琥珀「ん？部屋の前のドアに落ちてたの？木の枠の前じゃなくて？」

春「うん。変でしょ。」

翡翠「なるほどね。噂だと木の枠を越えて廊下を徘徊してる能面の目撃が主だったね。で、今いる３人は、枠の下のところに能面落ちてて、春の場合は、自分の部屋の前に落ちてたと。じゃ、訊くけど、能面は一つだけじゃないよね。もう一つはどこにあるのかな？」

その場の全員、言葉を失った。