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「ご、ごめんなさい!!」
慌てて頭を下げて謝る。うさぎちゃんは怖かったのか、私の後ろに隠れながら謝っていた。
声からして男性。多分、学生くらいだと思う。スタッフというより、出演者だろうか。
顔を上げると、その人はベンチに横たわっていたらしい。どうりで声を掛けられるまで気づかなかったわけだ。
でもこの人、どこかで...
長い黒髪に、強い輝き。間違いなく、私は彼に会っている。
この星の輝きは、確か...
「お前、あの時の...」
彼も同じで、私に見覚えがあるらしい。むしろ彼の方がどこで会ったのかまではっきり覚えているようだ。
「空港で...」
空港...あ!
「もしかして、女の子たちに囲まれてた...」
「思い出してくれたんだ」
良かったと、ほほ笑む男性。
男性からは、あの時と同じ強い星の輝きを感じた。
その輝きに惹かれるように、男性を見つめる。あの時と同じように視線が重なる。
その一部始終を、後ろからジーッと見ているのはうさぎだ。
まずうさぎは、Aを見る。
見つめるAちゃん。珍しく男の人に興味がある様子。
次に、男性の方を向く。
知り合いらしいだれか。こちらもまたお熱い視線をAちゃんに向けている。
ぐるぐるとうさぎのなかで幾つかの過程が浮かぶ。そして、その中からより現実的な線を見つけると、うさぎは二人の視線を遮るように間に割って入った。
そのままAをかばうように背中に隠し、威嚇する。
「どちら様かは存じ上げませんけどね、Aちゃんはダメよ!確かに可愛いし頭もいいし、優しい子よ。でもね、Aちゃんに下心をもって近づいたらはるかさん達が黙ってないんだから!」
ナンパダメ、絶対。
と言いたげなうさぎに、Aが咄嗟にそれは違うというが、聞く耳もたずだ。
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作者名:SHION* | 作成日時:2022年10月20日 22時