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Aが出て行ったドアを、はるか達は閉まるまで見送っていた。その眼差しは暖かく、慈愛に満ちていた。だが、ドアが完全に閉まると、みちるの瞳に悲しみの影が浮かんだ。
「はるか、覚えていて?」
「もちろん。なにせ、気づいたらパレスからいなくなってるお転婆な彼女を何度も迎えに行ったからね」
浮かぶのは、幸せそうに笑うあの子の姿。
彼女が誕生してからずっと守ってきた。その命を狙うものたちから、彼女の身を、その笑顔を。
『ウラヌス、あのね』
その使命ゆえに、年齢以上にしっかりするしかなかった彼女が、年相応の少女のような笑顔で話す姿は、今も印象深く記憶に残っている。それは嬉しくもあり、寂しさも感じる記憶だ。
「悲しい結末にならないといいけど。もう、あの子の涙を見たくないわ」
「それは僕たち守護戦士全員の思いだ」
ウラヌス、ネプチューン、プルート、サターン。
皆、彼女の笑顔が好きだ。自身の主君にはいつまで幸せでいてほしい。そう願っている。
「あの子が笑っていられる未来にするためにも、一つとして取り残してはダメだ。もう失敗は許されない」
「ええ、そうね」
守るべきプリンセスのために自分たちができることを精一杯やろうと、再度心に決めた。
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作者名:SHION* | 作成日時:2022年10月20日 22時