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海で ページ48

正直、黒尾さんに惹かれてる。




というか、今更かもしれないけど

惹かれない方がおかしいってことに気づいた。




そしてこれも本当に今更だけど


社内で人気なのも

さおりが黒尾さんが理想だっていうのも、



納得。





だけど私はこんな状態で


未だに元彼のことで取り乱してしまう。




もう大丈夫だって思っていたけど


全然大丈夫なんかじゃなかった。





そんな状態で黒尾さんの好意に甘えて



ましてや付き合うなんて。





そんなことできないって思ったけど。





黒尾さんは、それでもいいって言ってくれた。





もし、



黒尾さんに彼女ができたら、



他の人とお付き合いをされたら。





たぶん私は、ショックを受けるだろう。





私でいいのか?



付き合って

やっぱり違うって言われたらどうしよう?





たぶん、立ち直れない。





そんなことを


グルグルグルグル考えていたけど。





…………思い出した



黒尾さんは、そんなことを言う人じゃない。





三年一緒に仕事してきたんだ。



私自身が一番知っているじゃないか。





恋愛って、


怖いと思った。



こんなに行き場のない感情の処理の仕方


私じゃわからない。





だけど、黒尾さんなら




もし、何か起こっても


ちゃんと解決してくれるし、



処理の方法を教えてくれるんじゃないかって。





……まだ、迷いはある





怖い。





だけど、上手く言葉が出せない


色んなことが上手く出きない私のことを



こんなにも


待っていてくれる人なんて、もういないと思う。





いつの間にか深く色を変えた世界は



いっそう空気が冷たくなっていた。





一度、大きく深呼吸をして





冷たい、潮の香りを含んだ



懐かしい匂いを身体いっぱいに吸い込んで。





そして、覚悟を決めて。





「……よろしく、お願いします」





声がかすれて


振り絞って出した声は思ったよりも小さくて




震える声は、波音に消されてしまった。





どうしよう。



もう一回、言う?





なんて考えたけど





鈍く響く音に、反射的に音の方を見ると




たぶん、黒尾さんの手の中にあった



缶コーヒーが落ちた音だと気づいて、





目を大きく開く黒尾さんの表情から





"ちゃんと"





聞こえていた、と。

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設定タグ:ハイキュー , 黒尾鉄朗 , 黒尾   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:しの | 作成日時:2020年8月19日 0時

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