食事へ．２（その後２） ページ37
「え」
「イヤ？」
これを断られたら、諦め…………
れるか？
「あ、じゃあ。よろしくお願いします」
「マジで？」
「え、やっぱりやめときますか？」
んなわけ
「いやいや、俺今すごく喜んでます。
どこか行きたいところある？」
「行きたいなって思ってたとこ、言っていいですか？」
「もちろん」
「海に、行きたいです」
「よし、行こう。
ドライブデートなんて、どうですか？」
「よろしくお願いします」
その返事に、思わず口元が緩む。
「海、好き？」
「はい。小さい時に住んでいたところが海の近くで。
なんか、ありきたりですけど。落ち着きます」
「でも海って
視覚的にも聴覚的にも落ち着く効果があるみたいよ。
だから、定期的に行きたくなるんだって。
海の側に住んでたって、いいね」
「そうなんですね。
じゃあ今回も海に落ち着かせてもらいます」
海だけじゃなくって、
俺にも頼ってよ。
って、
ここまで出たけど。
重いな、とか面倒だな。って思われるのが怖くて
それはそっと飲み込んだ。
…………情けねーなァ
「いつ空いてる？」
「基本的にはいつでも」
「じゃあ、来週の土曜は？」
「大丈夫です」
「ありがとう」
「こちらこそ」
「時間、どうする？
あとこの辺に行きたいとかってある？」
「自分から言い出しといてアレなんですが
特にはなくて」
「じゃあ場所は任せられたってことで。
よければ昼飯食わない？」
「はい」
予定がポンポン決まっていくことに
おのずとテンションが上がる。
「じゃあ11時頃に迎え行くわ。
後で近くのコンビニとか教えて？そこに迎えに行くから」
「すみません」
「謝らないで。
俺が誘って、俺が行きたいから行くの」
「……ありがとうございます」
Aからの「ありがとう」という言葉に
俺の中からふっと何かが溢れた。
「ケーキ、美味いね。
こっちもあっさりしてて美味いよ」
ほら、と
自分の方にあったケーキを差し出す。
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作者名：しの | 作成日時：2020年8月19日 0時
