食事へ.2(の前) ページ29
「なんで?」
「だって私だよ?
バイト中、頼りっぱなしでなんなら面倒なこと押し付けちゃってたし。
私だったら、ないわ〜ってなるわ」
「あーー。でもいいと思うけどな〜」
「だから仮に私が良くってもあっちがないんだって」
「そう〜?けどなんかあったら教えてよ!」
「まぁないと思うけど」
それからさおりの話を聞いていたら駅に着いた。
「あ、じゃあ」
「え、乗らないの?」
改札前で「ここで」っていう私に、首をかしげられる。
「あ、うん。
今日黒尾さんとご飯食べに行く約束してて、
駅で待ち合わせてるから」
「えーーーー!そっちか!」
またさおりの目が輝く。
なに?
「なにが?」
「いや、アキノリくんもいいと思ったけど
黒尾さんがいいよ!だって間違いないもん!」
「いや、そういうんじゃないよ」
どうして何でもかんでもそうなるのか。
「なんで?!だって黒尾さんが誰かと食事に行くとか聞いたことないもん!」
「主旨が違うよ。私のは部下へのフォローだから。
申し訳ないけど。
で、さおりが知らないだけなんじゃない?」
「私の情報網なめないで。え、黒尾さんはどうなの?」
「どうもなにも、違うから」
黒尾さんはただの上司で
黒尾さんにとっても私はただの部下。
いや、手のかかる?世話のやける?
まぁ、いいや。
とにかくそれだけ。
「じゃあAは黒尾さんのことどう思ってるの?」
「素晴らしい上司」
「いや、男女って意味で!」
「そういう目で見たことないよ」
「信じらんない!」
「この前まで彼氏いて
なんなら一瞬、婚約までしてたから」
そうなんだな。
「あ、ごめん」
「いや、いいけど。
だから残念ながらさおりが思ってるような感じじゃないよ。
てか時間大丈夫?」
「あ、そろそろ行かなきゃ。
うーーん。とりあえず何かあったらすぐに教えてよ!
じゃ、先に行くね!お疲れ様!」
「さおりは楽しんで!お疲れ〜!」
さおりを見送り、待つこと20分
手に持っていたスマホが振動する
画面を見ると「黒尾さん」
「お疲れ様です」
『悪い。今出て向かってるからもう少し待ってて』
少し息が上がってる。
「大丈夫ですよ。また着いたら連絡下さい」
『あぁ、ありがとう。急いで行く』
「お気をつけて」
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作者名:しの | 作成日時:2020年8月19日 0時