興味のないフリをして (ページ9)

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Aside

普段優しくてあんなに割り切った感を出してくる嶺亜くんがそんなこと言ってくるとは思わなかった。

自分がどれだけ傷つけていたのか、そう考えるときつくて全員ととりあえず距離を置くことにした。

だから今日は久しぶりに大学へ向かう。

『いたっ…あ、ごめんなさい！』

大学へ向かう途中考え事をしていたせいか前から歩く人とぶつかってしまった。

「A…？」

なんで私の名前を知っているんだろう？

そう思って顔を上げると、

『え、悠(はる)くん？』

ついさっき、もうしばらく会わないでおこうとメッセージを送った男の1人、悠くんに出会った。

悠「ねぇ、Aなんなのさっきの、」

『そ、それは…』

悠「まさか切るとか言わないよね？」

悠くんはどんどん詰め寄ってくる。

この道は日中でも人が少ない。

この状況…結構まずい。

『えっと、その…』

でも、ここでちゃんと伝えなきゃだめかもしれない。

『私、ちゃんとしようと思ってて』

悠「ちゃんとするって何？

俺の事、ちゃんと見てくれてなかったの？」

『いや、その…』

肩を捕まれて壁に押し付けられる。

悠「ふざけんなよ…」

悠くんは手を大きくあげた。

“殴られる”そう思った時だった。

尚大「なにしてんの？」

『な、尚大…』

尚大にグッと手を引っ張られる。

尚大「いくよ！」

そう言うと思いっきり私の手を引いて走り出した。

走ったのなんて久しぶりかもしれない。

尚大はどんどん大学とは逆の方向に向かっていく。

『はぁ、…っ尚大もうむり…』

流石に普段運動してない私にとっていきなりこんな走るのはきつい。