陰キャな彼氏 (ページ4)

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湧「A〜！これなんて読むの？」

『え、湧こんなのも読めないの…』

初めての委員会の当番の日。

当番ってそういや3人だったっけ。

一応彼氏なのに2人の間に入る隙なんてなくてひとり黙々と本の整理をするとそんな会話が聞こえてきた。

『光成くん？』

急に声をかけられてびっくりした。

光成「先輩、どうかしました？」

『湧が今先生に呼ばれて職員室行ってるから今なら話せるなって思って…』

『ほら、図書室誰もいないし！』

先輩の言う通り今は誰も図書室にはいない。

高校生になって図書室へ通う人なんていないのかもしれない。

学校だから何も出来ないとはいえまたしても二人きりというこの状況は、胸を高鳴らせるのには十分な条件だった。

光成「先輩は…」

“元木先輩と仲良いですね”と言いそうになる。

まだ付き合ってまもないし、先輩はもしかしたら本気じゃなくて遊びでからかっているだけかもとなかなか信じ切れてない部分もあった。

そんな状況で嫉妬してるとも捉えられるというか、実際そうなのだけどそんなことはあまり言えない。

『ん？』

光成「いや、なんでもないです！」

『そっか！

あのね、光成くんと全然話せないじゃん？

今度どっか出かけようよ！』

光成「いいんですか？」

こんな地味な俺と歩くなんて先輩はきっと恥ずかしい思いをする。

『いいんですかって何さ！

付き合ってるんだからダメとかないよ。』

光成「すいません…」

『謝んないでよ〜

出かける時はメガネとマスクは禁止ね。』

そう言われて思わず「えっ」って嫌な顔をしちゃったらしく先輩は『そんな顔しないの！』と言った。

『光成くん、隠れイケメンだもん。』

光成「そんなわけないですよ、ただの陰キャです。」

『入学式のときマスクもメガネもしてなかったでしょ？

かっこよすぎてやばかったんだから…』

そう言ってちょっとだけ顔を赤くする先輩は反則だ。

思わずこっちも照れてしまう。

湧「あ、A！1年と仲良くなってんじゃん！」

恥ずかしくて少しもどかしい雰囲気の中運良く(?)なのか元木先輩が帰ってきた。

『あ、湧！』

湧「2人ともホント悪いんだけどさ、この後2人でやっといてくんね？

進路の事で色々担任うるさくてさ〜」