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「Aくん、行ってきますのちゅーは?」
「しねぇ」
「むー!!」
頰を膨らませて不貞腐れる母親に、「いってきます」と一言言って家を出る
「ごめん、待ったよな」
マフラーに口元を埋める神田にそう声をかけると、彼は「うん、待った」と不機嫌な声で応えた。そのまま1人先に歩き出してしまうから、焦って後を追う
「ごめんて、まじに怒った?」
「うん、怒ったから機嫌とって」
神田はそう言って、いたずらっぽく目を細める
やろう……すげー焦ったじゃねぇか
「えー、じゃあ手でも繋ぐ?」
「はは、そんなんじゃ俺の機嫌は直りません」
よく言うよ、初めて手繋いだ時は真っ赤になってキョドりまくってたくせに
そう思ったが、これを言うと怒られそうなので黙っておく
「絶対機嫌直る方法思いついた」
「んー?」
「えろいことする」
「すぐそれで解決しようとするな、ばか」
最初はこの手の話に真っ赤になって怒っていた神田も、俺が事あるごとにぶち込んでくるものだから、慣れてきたのかそのうち何も言わなくなった
「そういや、真昼ちゃんとのメールのやり取り、まだ続いてんの?」
「続いてる。あいつ毎回秒で返してくるからちょっとめんどくさい」
言葉に反して優しい声音に、なんだかんだ真昼ちゃんと前みたいに普通に話せることが嬉しいのだろうと感じる
少し嫉妬してしまうが、そこは目を瞑ろう
「あ、この前の県大会決勝の動画、貰ったから送ろうか?」
「は、貰ったって誰に」
「有村」
「いいよ、貰わなくて。負けちまったし」
「えー、でもAすげぇ活躍しててかっこよかったよ」
そう言われては悪い気はしなくて、口元がにやけそうになるのを必死に堪える
「Aと吉田は、2年でスタメンなんだね。すごい」
「いや、大したことは……それに、お前のがすごいじゃん。テニスで全国って、そうそう行けるもんじゃねぇよ」
「俺の話はいーのー」
いや、お前の話をしましょうよ……そう思うが、神田は自分の話より俺の話をするのが好きなのだ
「翔のやつ、マネージャーの仕事しっかりやれてる?」
「ああ、他のマネにすげぇ可愛いがられてるよ」
「そっか!キャプテンは?」
「トモ」
「あー、やっぱり……」
「なんだよやっぱりって」
楽しそうに笑う神田の横顔に、胸がキュッと締め付けられる気がした
この人が愛しい
それだけが、この先もずっと、揺らぐことのない事実としてあり続けますように
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山桜桃(プロフ) - 完結おめです!読み終わりましたーこれから他のBL作品巡回してきます┌(┌^o^)┐ホモォ、、、() (2020年4月28日 6時) (レス) id: addc97a0c8 (このIDを非表示/違反報告)
山桜桃(プロフ) - ご、、ごめんなさい!下の人がコメントしたので通知が来て「暇だから読んでみっか」と思って読み始めたら、、エグいです、、、可愛すぎて無理、、、「萌えます」の一言で終わらしちゃダメなやつ!!!!あっ私、下のカラ松ガールです。本当に読む手が止まりません! (2020年4月28日 5時) (レス) id: addc97a0c8 (このIDを非表示/違反報告)
クロ - 萌えますねぇ。ちょっと逝って来ます、どこに?それ聞きます?? (2020年4月28日 2時) (レス) id: cfb86d3e94 (このIDを非表示/違反報告)
なんじゃらほいほい(プロフ) - カラ松ガールさん» まじですか……嬉しい (2019年12月1日 4時) (レス) id: 8999d0f4f9 (このIDを非表示/違反報告)
カラ松ガール(プロフ) - 萌えます (2019年11月28日 0時) (レス) id: addc97a0c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なんじゃらほいほい | 作成日時:2018年4月5日 11時