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77話 *リクエストPart4 ページ28

side実弥

たまに悪夢を見る。

悪夢というか半分は過去の記憶。

実弥「…」

スヤスヤと俺の腕の中で眠る妹。

実弥「…ずっと兄ちゃんが守ってやるから…」

もう二度と傷つけたりはしない。


あの日は大雨で、

高校3年で受験間近で…

ピリピリしてた。

そうじゃなくても思春期で妹と一緒に居るのが嫌だった。

A『お兄ちゃん!』

実弥「兄ちゃん呼ぶんじゃねぇ!!」

傘を持って俺を追いかける妹を振り払った。

その腕を握っていたら俺は悪夢なんか見なくて済んだ。


次の記憶は、

轢かれた妹。

スマホを片手に運転していた車に引き摺られた。

雨の匂いと妹の血の匂い。

実弥「…は?」

理解出来なかった。

さっきまで俺を呼んで、ついさっき俺の手を握ろうとした妹は

アスファルトの上で血を流しては意識が無くなっていた。

実弥「…A!」

抱きしめても何も言わない妹。

救急車で運ばれて母親が来た。

「実弥は怪我はない?」

怪我はない…

俺が悪いんだ。

手を握ろうとした妹を突き飛ばしたんだ…

その行為が大嫌いな父親に似てるように思えた。

実弥「結局、俺はアイツの息子なんだ……」

絶望した。

真っ白な病室に幾つもの管を付けられた妹。

目を覚ましたらなんて言おう…

なんてずっと考えてた。

受験が終わってもAは目を覚まさなかった。

実弥「寝坊助だな、お前は…」

白い頬を撫でても反応はなかった。

第1志望の大学が受かって報告しようと病室に入ったら、

「あ、実弥!Aが目を覚ましたのよ!」

妹はただ静かに座っていた。

A『……』

実弥「…兄ちゃんが分かるか?」

ただぼうっと俺を見るだけの妹。

A『…にぃ…』

マスク越しに話そうとする。

実弥「ゴメンな…兄ちゃんって呼んで良いから…」

記憶があるからか、

急に優しくした俺に戸惑って

A『…兄さん…』

と呼ぶ事が増えた。

あと、

A『今日、買い物したい…です…』

常に敬語を使うようになってしまった。

よそよそしい妹。

自分で蒔いた種だから仕方ないと思ってる。

俺から亀裂を作ってんだから…


もう過去の出来事でも、

A『…お兄ちゃん……』

寝言やふとした時に昔の呼び方に戻ると

実弥「…兄ちゃんだぞォ…」

苦しくなる。

無くならない過去を恨んでは悪夢を見る。


いつも見てるのに、悪夢だとわかっているのに

実弥「…Aはココに居るのになァ…」

俺は妹がこの腕から居なくなる事を恐れている。

78話→←76話 *リクエストPart3-9



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小夜子@元ペテン師(プロフ) - かりんさん» ただいまリクエストの内容を考えながらリアル(現実)が少々忙しかったので……そのようなコメントを残して下さりありがとうございます。落ち着きましたら再開致します。 (2020年7月29日 12時) (レス) id: 548ac281c0 (このIDを非表示/違反報告)
かりん - 更新停止...また更新してくれますか??というかして欲しいです! (2020年7月27日 16時) (レス) id: c30d21e2cb (このIDを非表示/違反報告)
小夜子@元ペテン師(プロフ) - らかさん» 了解です…! (2020年5月27日 21時) (レス) id: 548ac281c0 (このIDを非表示/違反報告)
らか - ペテン師さんの好きにしていいですよ (2020年5月18日 8時) (レス) id: 0bcd5ff2c1 (このIDを非表示/違反報告)
小夜子@元ペテン師(プロフ) - らかさん» リクエストありがとうございます!記憶ありですかなしですか? (2020年5月8日 23時) (レス) id: 548ac281c0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ペテン師 | 作成日時:2020年2月12日 19時

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