32/ハラハラドキドキ ページ32
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【晋助視点】
───昨日、「俺はAのことは妹として可愛がっているんです」と桂は言っていた。
本人の口からそんな言葉が出たんだからそれは事実で桂自身そう思っているんだろう。疑う余地なんて無いはずだ。
それでもどこか煮え切らない。
本当に"親愛"なのか? 本当に"妹"なのか?
桂もだが、何よりAが一番予測不能だ。
「えー、資金もカラカラ冷蔵庫もカラカラ。高杉見てるとハラハラ。と言うことで今月はピンチだ、魚を釣りに行こう!」
「途中一つおかしかったぞ」
「もう今晩食える物もない! 自分たちで魚を釣って焼いて腹を満たすぞー!」
俺の言葉は無視で拳を突き上げたA。
それに「おー!」とノったのは桂と先生だった。魚釣りに行くのは俺を含めた四人だけと最初から決まっていたようだ。
だが、他の奴らをわざわざ家に帰してまで秘密にしたい理由は一体何だ。
「これから向かう釣りスポットは流れが荒くて危険だし、何より私達四人の食料確保のためにあいつらを付き合わせることは出来ない」
「うむ。少し寂しいがそういう事なら仕方あるまい」
「そうですね。でも、もし沢山釣れたら皆にもおすそ分けしてあげましょう」
◇◇◇
上がるのは大量の水飛沫。
日光に照らされた水面はとめどなく揺れ、流れ、木の葉を巻き込み下流へと向かう。川の底まではっきり目視できるのはここの水が綺麗だという証拠だろう。
ゴゴゴ、と流れる。
「……流れが荒いって」
ゴゴゴゴォォ!! と流れる。
「これ激流だろうが」
「だから言ったろ。やっぱあいつら連れて来なくて正解だったな。危ねーもんこれ」
「俺達にとっても危険だろ。落ちたら洒落にならねェ勢いだぞこの川。お前何だ、自分が超人だとでも思ってんのか?」
「思ってないよかめはめ波とか練習したことないよ馬鹿にすんなよ」
かめはめ波練習してたのか。
「二人とも、じゃれ合いは後にして釣りませんか。家で
俺とAの頭に松陽先生の手が置かれた。
心臓が飛び出るかと思ったがゲンコツではないようで安心した。
「こんな激流だからこそ珍種がいるかも知れません。珍味がいるかも知れません。ポジティブにとらえて釣りましょう」
そう、笑顔で手作りの釣竿を俺達に手渡した。
「なぁ松陽、さっそく珍種見つけたよ」
「ゴボボボッ」
「ほら。ポニーテールの魚人」
……いやアレ、桂じゃねェのか?
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佑依佳 - すごく良かったです。パスワードを教えてくれませんか (4月15日 10時) (レス) id: 4b4e019a12 (このIDを非表示/違反報告)
LIARPIERROT(プロフ) - こちらの作品のパスワードは作者様が作者ページに掲載してらっしゃいます。確認してからコメントしましょう。 (12月21日 20時) (レス) id: 7068d0a9b2 (このIDを非表示/違反報告)
茜 - 初めて読みました。とても感動して続きを読みたいと思いました。なので続きを読ましていただきたくパスワードを教えてくれないでしょうか?これからも頑張ってください!! (11月19日 15時) (レス) id: fd0a1b2f31 (このIDを非表示/違反報告)
菖蒲 - 続きを読みたいのですが、パスワードを教えてくれませんか? (10月20日 12時) (レス) id: de6a447dfa (このIDを非表示/違反報告)
白虎 - 続きを読みたいのですが、パスワード教えてくれませんか? (8月16日 23時) (レス) @page3 id: ec81a6d504 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:糸針 | 作成日時:2018年9月21日 23時