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31/めぐる争奪戦 ページ31

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【松陽視点】


「A、授業終わりに一本付き合え」

「A。俺でよければ教えようか?」

「A! また俺のノートに落書きしただろ!」

「A、甘味屋に新メニューが出来たそうだぞ」



「A……お前寝る前に髪の毛乾かせって」
「何度言ったら分かるんだ! 風邪を引いたらどうする!」
「割って入るんじゃねェ桂」


今日も平和なA争奪戦が勃発した。

どうやらこの()は、私の見ない間に二人の少年からここまで想われるようになったらしい。

一体何を言ったのか、何をしたのか。

詳しくは定かではないがAに惹かれているうちの一人として言えるのは、短くとも心に響く言葉ととびきり可愛い笑顔を貰ったのでしょう。


「また人気者になりましたね。A」

「ふぁあ……んー。人気者は辛いよ……」


生乾きの髪のまま、眠そうに瞼をしょぼしょぼさせる。


「最近はあの二人、AAって君の名前ばかり呼んでいますよね。一日に何回呼んだのか今度数えてみますか」

「………勝手に数えて……私もう寝る」

「ちゃんと乾かしてから寝るんですよ」


んー、と生返事を残しAは部屋を出た。

未だに戦争中の二人が少し可哀想になり声をかける。


「A、自室に戻っちゃいましたよ」

「は」

「な、ぐぬっ、乾かしたかった……!」


雪崩落ちるお二人さん。


「晋助のほうは前々から知っていたのですが、まさか小太郎"も"とは思いませんでしたよ」


Aのこと大好きなんですね。

そうやって笑うと二人は一瞬だけポカンとして、すぐにまた互いを指さした。


「違います先生。俺はAのことは妹として可愛がっているんです。高杉のように不純な気持ちで見た事は一度もありません」

「人妻を不純な気持ちで見つめるお前よりはまともだと思うぜ。その歳から配偶者を好きになるなんざお前の将来が思いやられるな」

「あの人は人妻ではない! 未亡人だ!」

「どっちにしても危ねェんだよお前のその嗜好」


冷静な面持ちで小太郎を否定する晋助。

私はどちらもAに"恋"していると思っていましたが、なるほど。小太郎の感情は親愛で晋助は恋愛と別々な訳ですか。

……Aが私に向けている感情については、百パーセント親愛と言い切っていいのか怪しいところがある。

これが勘違いであればいいのだがもしAの"初恋"を奪ってしまっていたらと思うと。


「人間の感情って、難しいですね」

32/ハラハラドキドキ→←30/ヅラじゃない、桂だ



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佑依佳 - すごく良かったです。パスワードを教えてくれませんか (4月15日 10時) (レス) id: 4b4e019a12 (このIDを非表示/違反報告)
LIARPIERROT(プロフ) - こちらの作品のパスワードは作者様が作者ページに掲載してらっしゃいます。確認してからコメントしましょう。 (12月21日 20時) (レス) id: 7068d0a9b2 (このIDを非表示/違反報告)
- 初めて読みました。とても感動して続きを読みたいと思いました。なので続きを読ましていただきたくパスワードを教えてくれないでしょうか?これからも頑張ってください!! (11月19日 15時) (レス) id: fd0a1b2f31 (このIDを非表示/違反報告)
菖蒲 - 続きを読みたいのですが、パスワードを教えてくれませんか? (10月20日 12時) (レス) id: de6a447dfa (このIDを非表示/違反報告)
白虎 - 続きを読みたいのですが、パスワード教えてくれませんか? (8月16日 23時) (レス) @page3 id: ec81a6d504 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:糸針 | 作成日時:2018年9月21日 23時

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