25/幸せ ページ25
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【松陽視点】
「悪ガキども、覚悟はいいですか?」
真っ先に青ざめたのはAだった。
そそそっと道場破りさんの背中に身を隠し、私から逃れるように道場破りさんの身体に抱き着く。
「人の身体に隠れるんじゃねェっ」
「お前は今からハイ〇アの盾だ高杉。私を守れ」
「では俺はマ〇ターソードだな」
「ゼ〇ダの伝説は後にしてコチラへ来なさいA」
道場破りさんも困ってますよ。
と言うと、Aに加えて道場破りさんもシュンと眉を下げた。予想外の反応にアラ、と思わず口に出してしまう。
離れて欲しくない、のか。
これはまさか……そういう事でしょうか。
「すみません道場破りさん。後でいくらでも抱き着いてあげていいので」
「……。!!? は、な、違う!」
ポッと赤くなる彼が初々しくてまた笑う。
ヤケ気味にAを前に差し出すと道場破りさんはそっぽを向いてしまった。一連の動きに首を傾げるだけのAの頭上に拳を持っていく。
もっと青ざめる幼顔。
いつものように、コツンと。ゲンコツを、
「すみません」
「───!」
落とせなかった。
かわりに、Aを抱き締めていた。
「松陽……?」
「もう道場も学び舎もなくなっちゃいました」
一番最初に指切りげんまんしたと言うのに、
あの場所はAと私の帰る場所だと約束したのに、それを破ってしまった。
「松陽、じゃあまた約束しようよ。また新しく帰る場所を作ればいいよ。私は、私達は、松陽がいる所なら何処であろうと"学び舎"で"帰る場所"なんだから」
「……A」
幼く小さな肩から顔を上げると、勇ましい頬笑みを浮かべた二人のお侍さんと目が合った。
「Aの言う通り、心配いらねェ。俺が破りてェのはアンタだよ。松陽先生」
「そうです。それに先生、我等の武士道も貴方の武士道もこんなことで折れたりはしません」
「………」
やれやれ、どうしてこうもあたたかいのだろう。
教え子に教えられる先生と言うのも悪くないですね。
「Aには生意気な悪ガキを呼び寄せる能力でもあるんでしょうか」
「さァな、その能力持ってんのは松陽の方かも知れないよ?」
「確かに」
君しかり、今じゃ私が拾ったのか私が拾われたのかよく解らなくなった。
……ただ確かなのは、今ここにある幸せ。
「では早速、路傍で一つ授業をしましょう」
満足気な三人に。
「ハンパ者が夜遊びなんて百年早い」
今度こそゲンコツを落とした。
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佑依佳 - すごく良かったです。パスワードを教えてくれませんか (4月15日 10時) (レス) id: 4b4e019a12 (このIDを非表示/違反報告)
LIARPIERROT(プロフ) - こちらの作品のパスワードは作者様が作者ページに掲載してらっしゃいます。確認してからコメントしましょう。 (12月21日 20時) (レス) id: 7068d0a9b2 (このIDを非表示/違反報告)
茜 - 初めて読みました。とても感動して続きを読みたいと思いました。なので続きを読ましていただきたくパスワードを教えてくれないでしょうか?これからも頑張ってください!! (11月19日 15時) (レス) id: fd0a1b2f31 (このIDを非表示/違反報告)
菖蒲 - 続きを読みたいのですが、パスワードを教えてくれませんか? (10月20日 12時) (レス) id: de6a447dfa (このIDを非表示/違反報告)
白虎 - 続きを読みたいのですが、パスワード教えてくれませんか? (8月16日 23時) (レス) @page3 id: ec81a6d504 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:糸針 | 作成日時:2018年9月21日 23時