13/日々生意気 ページ13
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「あれ? Aちゃんは?」
羽場ちよは教室に入るなりそう言った。
あと二分ほどで授業が始まる。と言うのに教室にAの姿が無い。そこに居るだけで存在感をバリバリにおわせる皆の人気者は不在のようだ。
ちよに気付いた坊主頭の男子が、教科書片手に答える。
「Aなら外に出て行ったよ、たぶんサボりじゃないかな」
「あー、またサボりかぁ。ここ最近、Aちゃんったらどんどんヤンチャな女の子になってきたよね」
「うん、でもAらしくて見てて楽しい」
「そうだね! あたしもヤンチャしようかな! 刺青とか入れちゃって片目潰してみたりして!!」
「ちよっち落ち着いて」
喋るうちヒートアップしてゆくちよの感情に、冷や汗を垂れ流しつつも制す坊主頭の男子。
冷静を取り戻したちよはそっと自分の席についた。
「皆さん、お待たせしてすみません」
そこへ、松陽が教科書を両手にやって来た。
皆から笑顔が溢れる。
「授業を始めま、……Aの所在を知っている子は手を挙げてください」
皆の笑顔は途端に苦笑いにかわった。
Aらしくて見ていて楽しい。それでこそAちゃん。自由奔放で気持ちがいい。なんてそれぞれ暖かな気持ちでAを見守っていた生徒達だったが、松陽のお仕置きする気満々のその笑顔に思わず苦い顔をしたのだ。
地面に埋まる程のゲンコツを目の当たりにした経験のある数人の生徒は、小動物のように震える。
「は、はいっ、先生、Aちゃん、神社に行くって言ってました……!」
一人の男子が、おずおずと挙手をした。
◇◇◇
『___、どうして、どうしてっ』
『ごめ、んね……』
『___! ___、死ぬなぁ!!』
「──高杉、お前はどこへいこうというのだ」
妙な夢を覚ましたのは声変わり前の鈴の音だった。
しゃばしゃばと眠気眼を擦り、大きな欠伸を一つ落とす。
Aは年季の入った神社の樹木にてサボり(居眠り)をしている最中であった。銀の方は松下村塾の廊下で気持ちよさそうに眠っていたので、珍しく一人で。
生意気なクソガキは近頃、松陽の授業そっちのけで睡眠欲に駆られているのだ。
日々、どんどん生意気を増してゆくA。
以前よりもふてぶてしく、死にかけの魚のような目で声のした方に目線を落とした。
「さぁな。そんなもん、解ったら苦労しねェさ」
その少年には見覚えがあった。
「アイツ、確かこの前吊るされてた……」
14/全く描写されてなかった刀→←12/パフェは一口目が一番美味い
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佑依佳 - すごく良かったです。パスワードを教えてくれませんか (4月15日 10時) (レス) id: 4b4e019a12 (このIDを非表示/違反報告)
LIARPIERROT(プロフ) - こちらの作品のパスワードは作者様が作者ページに掲載してらっしゃいます。確認してからコメントしましょう。 (12月21日 20時) (レス) id: 7068d0a9b2 (このIDを非表示/違反報告)
茜 - 初めて読みました。とても感動して続きを読みたいと思いました。なので続きを読ましていただきたくパスワードを教えてくれないでしょうか?これからも頑張ってください!! (11月19日 15時) (レス) id: fd0a1b2f31 (このIDを非表示/違反報告)
菖蒲 - 続きを読みたいのですが、パスワードを教えてくれませんか? (10月20日 12時) (レス) id: de6a447dfa (このIDを非表示/違反報告)
白虎 - 続きを読みたいのですが、パスワード教えてくれませんか? (8月16日 23時) (レス) @page3 id: ec81a6d504 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:糸針 | 作成日時:2018年9月21日 23時