禽も困しめば車を覆す

第九部 流出 ページ41

QuizKnockが5周年を迎えることになり、伊沢と福良はYouTubeだけでなく多くのメディアに出演、インタビューを受けることになっており、久しぶりに見かけた二人の姿は相変わらずオフィスでも忙しそうだった。

そんな中でも節目を迎えオフィスは二回目の引越しをすることとなり、今までのオフィスよりも駅が近くて交通の便が良く、もっともっと大きな建物になった。

どの部屋も広く、何部屋もある。撮影のことも考えられた防音環境とPAブース。充実したパソコンモニターとデスク。これ以上ないくらい綺麗で清潔なオフィス。

まぁ、入社したばかり、かつライターであるAはオフィスには週に一回訪れるくらいなので、今までのオフィスにも慣れ親しんだわけでもなくあまり愛着もない。

そして、新しいオフィスになっても多分出社する頻度は変わらないと思われるので、自社というよりも工場見学とか不動産の背伸びした内見みたいな気分に近かった。

「凄い」「広い」「大きい」「綺麗」という感想は浮かんだが、他のQuizKnockメンバーが感じてるであろう感動にはなかった。


だけど、いち社員として一応コメントというものを出さない訳には行かず。


@QK_Writer_i

《QuizKnockの皆様、5周年おめでとうございます。ライターをやらせて貰ってますがファンでもありますので本当にめでたいことと胸がいっぱいになります。今までと変わらずに皆さんがハッとするような記事を作っていきたいと思っています。》

そんな建前だけの決意をQuizKnockライターのアイのTwitterで発表した二日後。

「Aさん、明日オフィスに来てくれる？…話があるから」

真剣で固い声をした福良にオフィスに来るように呼び出された。

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