私と影の日記帳

残りの時間。　シロ視点 ページ14

黒音は、順調に物語を読み進めていく。

・・・私の察しが正しければ、黒音はもうそろそろ、

何処かに行ってしまうのだろう。

そうなる前に、私の気持ちを伝えたかった。

だけど、言葉で伝えられなくて・・・

気がついたら小説を書きあげていた。

読み終えた黒音が言う。

「・・・これって、実話か？」

「そうだよ。」

もう、読み終えてしまった。

もっと、ここにいてほしかった。

小説の中の少女は、最後に言う。

「・・・また、どこかで会おうねー！」

私も、別れのときはそう叫びたい。

できないんだろうけど。

「白音、正直なこと話していいか？」

真剣な顔になって言う。

「・・・いいよ。」

きっと、今から別れることを言うんだ。

なんなんだろう、別れる恋人同士みたいなこのシュチュエーション。

もう嫌だよ・・・

「俺は、あと５日もしたら、ここから消える。」

全然遠回しに言ってくれない黒音。

この人の、性格。

「あと５日、この残りの時間で白音を幸せにしたいって思ってたんだ。」

心苦しくなる。

「でも、いじめられて傷だらけで、何もできないなって・・・」

あぁ、もうすべてわかってることなのに。

「だから、どうしても別れるタイミングを言いたくなくて。」

「・・・全部察してたの。だから、だから・・・」

涙が溢れていく。涙で床が濡れていく。

「だから、どうしても嫌で・・・」

言葉が続かない。

「泣かないでほしい。俺も辛くなるだろ。」

辛そうにする黒音は、はじめてみた。

「最後の日まで、笑顔でいてほしい。」

それが、最初で最後の黒音の願いだった。

「うん。」

私は残りの時間、笑顔で過ごすと壊れかけの心の中で唱える。

絶対に、守り通す。

本当の望み。　クロ視点→←あと５日。　クロ視点

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