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「A、今日は部活来る？」
昼休憩に入ってすぐに、紬がそう聞いてきた。
「あっ、うん。今日は行くよ」
昨日のことがあって、何だかぎこちない返事をしてしまった。
「よかった。じゃ、またね」
そう言った後すぐに、紬は友達の方へと向かった。
私が佐倉くんとお弁当を食べていることを察しているのかな、とか余計なことを考えてしまう。
佐倉くんと一緒にいるところを見られた後のみんなの反応が怖いから、このことは誰にも言っていないし、実際お弁当を持っていつもの場所に向かうタイミングも違う。
佐倉くんは先生にバレないようにスマホをポケットに忍ばせてからさっさとお弁当を持って教室を出ていくのに対して、私は佐倉くんが教室を出てしばらくしないと準備が終わらない。
パッと見、間違っても一緒に存在しちゃいけない組み合わせだから、むしろこの方がいいのかもしれない。
しかも、佐倉くんは私のことをどう思っているのか全く分からない。
私は人の気持ちを読み取るのがとても苦手だから、尚更。
でも、私は、佐倉くんのことが……。
このままじゃ紬と純粋に友達でいられなくなるかもしれない、という不安を覚えた私は、一番佐倉くんと紬のことを知っていそうな人に話を聞きに行った。
紬には申し訳なかったけれど、今日も先に部活に行ってもらった。
「今日は来るよね？」という紬に「今日は絶対行く」と返した後、目的の人物を探した。
教室掃除が終わったタイミングで、教科書をカバンに詰めていたその人に、緊張した面持ちで話しかけた。
「あの、戸川くん、ですよね？」
「うん」
「ちょっと聞きたいことがあるんですけどいいですか？」
「いいよ」
椅子に座った戸川くんに続いて、私も戸川くんの目の前の椅子に座って向き合った。
「いきなりなんですけど、佐倉くんと紬って、友達じゃないんですか？」
「想と青羽ね……。塾同じだったのは、知ってる？」
こんなことを私に言ってもいいものなのか、と迷っている様子だった。
「はい」
「友達じゃない、か」
「二人とも、同じこと言ってました」
「俺が勝手に教えていいものかどうか分からないから、このことも俺が教えたってことも、二人には内緒にしててくれる？」
「はい」
普段笑顔の多い戸川くんが、真剣な表情で言葉を続けた。
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