なんもなかった (ページ26)

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Your side

勢いで飛び出してきてしまった、、、

け「A～！！」

うぇ、けんすだ～

『なんだよけんす』

け「何けんすって呼び方笑笑送ってくよ」

『ありがとう』

珍しく２人で歩きながら帰る。
沈黙が続いて息苦しい。

け「なんでdollってこと隠してたの？」

触れてほしくない所に触れてくるなぁ

『別に、恥ずかしかっただけ。』

『最初は自己満足で動画をあげてた。けどそれがだんだんおっきくなって、周りの人にバレてばかにされるのがこわかった。』

け「馬鹿になんてしないよ」

『けんすけとは幼馴染だけどさ、お互い知らない事とかあるじゃん。隠しておきたい事とか。』

け「俺はなんでもAに言ってるし、相談もしてるよ？」

『みんながみんなけんすけみたいに振る舞えないんだよ。言えない事だってあるよ。』

け「それはAが信頼してないってこと？」

『そう言う訳じゃ…「そう言うことじゃん!」』

け「Aがdollって知ってびっくりしたし、すごいと思った。でも有名になるってことはアンチも増えるじゃん。だからもっと俺を頼って欲しかった。」

『私はdollとしてこんな人気になるなんて思ってなかったの、今更dollです～とか呑気に言えないよ！』

け「でも言わなきゃわかんないじゃん！！」

『言えないよ！昔から友達が多かったけんすけにはわかんないよ！！！私は別に1人でも大丈夫だもん！！』

つい、口走ってしまった。
けんすけは友達が多い。私は少ない。だから誰かに褒めてほしくてもう1人の自分dollになった。
別に相談相手なんていらなかった。画面越しにみんながいたから。

けんすけは少し驚いた顔で、でも少し悲しそうな顔でこう言った。

け「Aの気持ちはAにしかわかんない。けど少しでも理解したいから俺は近くにいた。」
け「だけど、もう大丈夫なんだね、、」

『ちがう、ちがくて、、ごめん』

け「今まで付きまとっちゃってごめんな！じゃあ、、、。」

待って。

その言葉は私の口から音として出てこなかった。
声にならない声で

ごめん。行かないで。待って。

心ではすらすら言えるのに音にならない。

『待ってけんすけっ！！！！』

やっとの思いで音にした頃には遠くに行ってしまって届かなかった。