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紫耀「はい、お待たせしました! 今日のコーヒーです。」
カチャリと目の前に置かれた馴染みのティーカップ。
私は頭を下げ、いつものようにテーブル上の瓶から角砂糖1つとミルク2つを取り出して中に入れた。
「じゃあ…、いただきます。」
紫耀「はい!」
コーヒーに手をかけ口元まで持っていく。
その間、紫耀さんは私の傍らでお盆を胸に抱えて、私が飲むのをまじまじと見ている。
それはもう、彼の得意の子犬のような顔で。
紫耀「どうぞっ!」
「( 飲みにくい…。)」
___コクン、
じわ…と程よく温かい液体が、胸元へ染み込んでいく。
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「………美味しい。」
紫耀「ほんとですか!?」
食いつくように前のめりで距離をつめた彼にビクッとからだが跳ねた。
「わ、ほ、ホントに!ほんとに美味しいですから…っ」
紫耀「や……ったぁ〜……よかったぁ……ッ」
肩をだらりと落として心底ホッとしてる紫耀さん。
そこまでコーヒーに自信がなかったんだろうか。
…確かにマスターとは味は違うけど、本当に美味しいのに。
紫耀「あっ、そうだ。1杯付き合わせちゃったお礼にこれ食べていってください!」
「…シフォンケーキ?」
紫耀「はい! さっき焼きあがったばっかりなんで!」
「(お菓子なんて作れるんだ…。)」
もしかして、ここに来た時バタバタしてたのはシフォンケーキ焼いてたからだったのかな。
紫耀「はい!どうぞ〜」
「ありがとうございます。」
差し出されたそのお皿には、
綺麗に焼きあがっているシフォンケーキと、ちょこんと添えられたホイップクリーム。
それをぱくりと口に運ぶ。
「…すごい、ふわふわで美味しいです。」
紫耀「よっしゃ!」
僕、そのシフォンケーキだけは得意なんですよ〜!と、にっこり笑った。
…そのふにゃりとした笑顔にどこか和んでしまって、ついふっと口から息が漏れた。
紫耀「あ!笑った!」
「っ、え?」
紫耀「いや、てっきり僕、嫌われてるかと思って…。」
頭を恥ずかしそうに掻きつつ、はは…と力ない笑みで申し訳なさそうな顔をされてしまった。
…いや、今までの私の態度からしてそう思うのは当たり前だ。
『イケメン王子様からしたら私なんて毛ほども興味無いだろう。』
__という勝手な決めつけで彼への態度を蔑ろにして、こんな顔をさせてしまった。
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あき。 - 新作公開、おめでとうございます。おかえりなさい!が合ってますか?笑 平野のイメージぴったりでやっぱり雪乃さんの描くお話は大好きです。引き続き雪乃さんのペースで更新がんばってくださいませ。 (2019年4月1日 18時) (レス) id: 1e1b84a358 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪乃 | 作成日時:2019年4月1日 3時