検索窓
今日:14 hit、昨日:11 hit、合計:202,553 hit

45 ページ46

zm side

民衆の塊から離れた木の上から彼女の最期を見届ける

剣で勢い良く頸動脈を切られ、血を流しながら彼女は倒れて亡くなった

フードを外して手を組んで目を瞑る

再度目を明けると地平線からは太陽が顔を出し、広間を照らしていた

一筋だけ、Aのところをまるで神の通り道のように眩しく照らしている

見えるはずのない天使が彼女のことを空の上へと連れて行くのが見える気がした




zm「……死んだんか…」


昨日まで笑っていた彼女はもういない

実感があるようでない事実を受け入れていいのかわからない

ただ色のない涙だけが流れていることは理解できた

上体を起こして木から飛び降りる





俺にもやるべきことがある


zm side終
────────────────
gr side

"見世物"が終わると人々は少しずつ散っていき、やがて広間には早朝の音だけが残されていた

一階へと降り、玄関を通って処刑台までやってくる

Aも登った13段を上がり、彼女の体の近くに座り込む



gr「……」

少し開いている彼女の目へ手をやり、瞼を降ろす

あまり好きではない、生臭い血の臭いも今は全く気にならなかった


広間を照らす朝日も、彼女の体についている血も

全てから色が抜け落ちてモノクロになったようだった

今まで何人もがこの世界を去っていったはずなのに

彼女がいなくなっただけでこんなに視界が変わるのか

たった一人がいなくなっただけで色彩が消えるのか

もう流れきったはずの涙がまた溢れてくる

Aの亡骸を抱きかかえ、会えない彼女を想っていると


zm「…グルッペン」


ゾムの声が背後から聞こえてくる

gr「…どうした。今は一人に」

zm「これ、…姫さんから預かってたんやけど」

その言葉にふっと顔を上げると


彼の手の中には


淡い水色の石が埋め込まれた指輪と手紙があった


-*- -*- -*- -*- -*- -*- -*- -*--*- -*- -*- -*- -*-

46→←44



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (290 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
721人がお気に入り
設定タグ:wrwrd
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

そると(プロフ) - ぱずるさん» ぱずるさん、コメントありがとうございます!上手く伝わって感動して頂けて作者としては嬉しいです…次作そろそろ出来そうなのでもう少しお待ちください! (2021年8月13日 12時) (レス) id: 018c79fc19 (このIDを非表示/違反報告)
ぱずる(プロフ) - 完結おめでとうございます。紛うことなきハッピーエンドではありませんでしたが、そこもまた良く胸が締め付けられました。とても感動する作品をありがとうございました。これからもそると様の作品を楽しみにしております。 (2021年8月13日 11時) (レス) id: baac44fdeb (このIDを非表示/違反報告)
そると(プロフ) - タユさん» コメントありがとうございます!悲劇の女王、的な感じで書きたかったのでそれが伝わってくれたなら嬉しい限りです!! (2019年9月30日 20時) (レス) id: 018c79fc19 (このIDを非表示/違反報告)
タユ(プロフ) - 完結おめでとうございます!本当に感動しました( ; ; )女王が可愛そうだったのと、ショッピ君の立ち位置が凄くいいなと思いました!本当にお疲れ様でしたm(_ _)m (2019年9月30日 20時) (レス) id: 98f6db82b1 (このIDを非表示/違反報告)
そると(プロフ) - きのこ(em推し)さん» コメントありがとうございます!zmさん落ち…同じ世界観…!めちゃくちゃいいじゃないですか…!頑張って書いてみます…!! (2019年9月30日 16時) (レス) id: 018c79fc19 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:そると | 作成日時:2019年8月9日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。