王と皇帝は相容れない筈だった (ページ4)

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皇帝との邂逅ページ4

『…ん、もうこんな時間か。』
時計の針が7時を指していた

『要、その書類は明日でいい。もう帰りなさい。』
「し、しかし、」
『いいから。会長命令だ。』
「う…、では、家で終わらせてきますので持ち帰ります。」
『…君も頑固だな。明日でいいと言っているのに。』

要はよく生徒会の仕事を持ち帰る癖がある
全く、真面目だな

私は窓の外を見た

夜の暗闇に点々と光る街灯
空に光る星達
生徒会室から見るこの景色が好きだ

私はふと視線を下げた

『おや？』

サッカー部の部室に灯りが灯っていた
サッカー部が消し忘れたのかな

私はサッカー部が使う、ロッカーやシャワー室、トレーニングルームを見て回った

王帝月ノ宮のサッカー部は全国屈指の強さを誇る
スポンサーは大手会社の月光エレクトロニクスだ

我が校の誇りでもあるサッカー部は何時も部活の時間はきっかり6時に終わる

なので、きっと無駄のないスケジュールなのだろう

そう思いながら歩いていたら
観客席に出た

サッカーフィールドには一人の少年がいた

『(あれは、野坂悠馬。)』
赤毛が特徴の彼はただ一人、ゴールにボールを蹴っていた

彼の事はよく生徒会でも話題に上がる
文武両道、才色兼備
スポーツと勉学を両立出来る奴は多くはない
必ずどちらかに偏りができてしまう
だが、彼は完璧過ぎるのだ

まるで挫折を知らないかのように

だが、

『…、あの表情は焦燥か？何か焦っている？』
野坂悠馬の瞳に宿るのは焦り
絶対王者である王帝月ノ宮サッカー部のキャプテンの確固たる焦りを目の当たりにした

野坂side

「まだだ、僕には時間がないんだ…！」
オーバーワークである事は理解している
だけど先日、医師から告げられた残り時間に焦りが出る

西蔭は自分も残ると言っていたが帰らせた

此処には僕一人だけ、そう思っていた

『部活の時間はとっくに過ぎているぞ野坂悠馬。』
その凛とした声がした方を見た

生徒会長だ

その佇まいと現実味のない美しさによって生徒達からこう崇めらていた

現代の騎士王、と

アーサー王の再来と

彼女の呑み込まれそうな程の瞳に、まるで取り憑かれたように魅入ってしまった

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