匂恋。３ (ページ9)

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___ 噂。ページ9

あれから一週間。

紫耀からも佐江からも、連絡はなし。

もう私、捨てられたのかな…

だって、あのキスマ事件から
紫耀の女関係の噂が次々と出てくる。

佐江以外の、女の子の名前。

ここまでくると、もう何が本当で
何が嘘なのか、分かんない…

…廉の時と、また同じになるの？

それだけは…
…紫耀は、失いたくないよ…

紫耀の女騒動には免疫がないから
余計に苦しくなる一方だけど、
それでもどこかで紫耀を信じてる自分がいる。

私は勇気を振り絞って、
紫耀に連絡をした。

会いたい、とただ一言。

その日の夜、今から行くよと
紫耀からの返信が来た。

大丈夫。

紫耀は、私の彼氏。

…紫耀、信じてるからね…

気持ちが交差して、
何を言いたいか、何を、聞きたいか…
ずっと悩んで時は過ぎ…

ピンポーン

紫耀が、来た。

「…久しぶり」

『うん、今飲み物持ってくるね』

久しぶりの紫耀を一目見て、
疲れてるんだとすぐに分かった。

そんな忙しい中で、
私が会いたいと言った直後に
来てくれるんだから…
私は愛されてると思っていいんだよね…？

『紫耀、忙しいよね？
体は大丈夫？』

「…大丈夫だよ」

…嘘つき。

私はずっと紫耀が好きなんだから
紫耀の笑顔で分かっちゃうんのに…

「Aは？仕事順調？」

『あ、うん。最近はもうパンケーキも
お酒も作ってるよ」

「そっか。
俺もまた食いてーな～」

紫耀といると、やっぱり今までの噂が
嘘だと思ってしまう。

些細な会話が、こんなにも幸せだもん…

…でもだからこそ、
ちゃんと紫耀の口から真実を聞いて、
ちゃんと、確信したい…

『…紫耀、あのさ…
…っ、紫耀、浮気してないよね…？』

反応を見るのが怖くて、私は俯いたまま…

…紫耀の顔が、見れない。

「…浮気は、してないよ」

紫耀の返答に、
涙が一粒、自分のももへと落ちた。

…浮気は、って…

『…今の言葉、
浮気はしてないけど…
噂は本当だって事だよね…？』

一度流れてしまうと、泣きたくなくても
涙が止まらなくなってしまう。

瞬間、紫耀に抱きしめられた。