匂恋。３ (ページ8)

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___ 匂わせ。ページ8

佐江のツイッターには、

“今日も来てくれた”
“ご飯作った～”

とか…

それ以外にもたくさん、
誰かと一緒に過ごしたんだろうと思わせる
写真が共に載せられている。

半分しか写ってない後ろ姿や、手だけ…
どの写真にも、顔は載せていない。

いかにも、幸せそうなツイート。

佐江のファンは、
きっとどこかの彼氏だと思うだろう。

まだ読者モデルだから
そこまで知名度があるわけではないし…
…探られるはずがない。

…でもね、私はその写真の人物が誰か
分かってしまうんだ。

…紫耀…

この抱きしめたくなる後ろ姿、
ガタイのいい背中…
このキレイな手、この指輪と、腕時計…

見たく無いのに、
気持ちとは反対に
画面をスクロールする手が止まらない。

…これで、最後か…

紫耀との匂わせだろう呟きの始まりは、
私と飲み行った、あの日から始まっていた。

…どうして…

…なんで、佐江と紫耀が…？

や、まだ確実に紫耀だと
決まったわけではない。

私の思い込みかもしれない…

…だけど、こういう時に限って蘇る記憶。

確かあの日、佐江と飲み行った日…

佐江から匂った、…紫耀に似た、甘い匂い。

あの時、一緒にいた人のが移ったって、
佐江、言ってたよね…

…あの日は、今日放送された…
少年収の、収録日…

私と会う前に佐江は紫耀と会っていて、
少年収に行く前に…
紫耀は、佐江と会ってたという事…？

考えれば考えるほど、
佐江のツイッターを見れば見るほど、
私の憶測が真実へと変わっていく。

同時に、吐き気も止まらない。

涙も、とめどなく溢れてくる。

これを見てすぐに、紫耀本人に確認する
気力なんてもう無くて…
もちろん佐江にも、
連絡なんてできるはずがなかった。