匂恋。３ (ページ35)

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___ 朝。ページ35

目を覚ましリビングに行くと、
ソファに廉の姿は無く、
昨日掛けた毛布がキレイにたたまれていた。

…廉、帰っちゃったんだ…

…って、帰ってくれて良かったじゃん。

なに私少し寂しがってんの…

…だけど…

急に現れて、急にいなくなって…

いくら私が爆睡してたとはいえ、
何か声くらいかけてくれてもいいのに…

机に置かれた廉の連絡先の紙を
ぼーっと眺めていると…

「あ、A起きたん？」

『…え…』

朝とは思えないほど完璧なルックスの廉が
私の前でニコッと笑った。

『…帰ったんじゃないの？』

「いつ帰った事になってんねん(笑)
何も言わずに出てかんわ(笑)」

廉がまだいた事に、どこかホッとしてる自分。

『…どこ行ってたの…？』

「どこって…洗面台やけど(笑)
Aが起きてくる前に
かっこいい俺でおりたかったからさ(笑)」

よく見ると、ソファの横には
廉の荷物がまだ置いてあった。

…こんな私、おかしいよ…

「…もうおらん方がよかった？」

『…え？！』

びっくりして思わず大きい声を出してしまうと
廉がイタズラっぽい笑顔で私の頭を撫でた。

「その反応…
俺、少しは期待してええみたいやな♪」

『…何言ってんの。
いない方が良かったに決まってんじゃん』

「またまた～
そんな顔しとらんかったで？(笑)
も～、Aちゃん素直やな～(笑)」

昨日とは違う…
普通の男の子のようにふざける廉に、
やっぱり、不覚にも少しドキッとする。

「…じゃあ俺東京帰るな」

そしてまた、急に真剣な表情。

『廉、私…』

「今は何も言わんでええよ。
ただ、笑顔で見送って欲しい」

廉の言葉に、
今まで我慢してきた思いが
涙と一緒に、一気に溢れた。

「え、ちょ、どうしたん？」

『…大阪に来てずっと一人で…
…紫耀と別れて…
ずっと寂しかった…』

「…そりゃそうだよ。
もう、我慢せんで今全部吐き出して？」