匂恋。３ (ページ20)

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___ 想い。ページ20

『…紫耀は、元気？』

「…は？
なんで久々に会えたのに
まだ紫耀の名前出すん？」

『…ねえ、紫耀、体壊してない？』

廉には申し訳ないけど、
廉の言葉は私には届かなくて…
…涙と共に、一度溢れた思いは止まらなくて…
…どうしても、紫耀の事ばかり考えてしまう。

「あいつ、最低な事したんやろ？
それでもまだ紫耀が好きなん？」

『…紫耀は、悪くないよ…
結局廉の時と同じ…
私が弱くて逃げたから…
…好きとか、自分の感情は分からない…
ただ、紫耀は一人で何でもやろうとして
無理しちゃうから心配なの…』

涙を拭って顔を上げた瞬間、
廉の唇が、私の唇と重なった。

『…や…』

廉を押して、唇を離す。

『…なんなの？
急にキスするとかやめてよ…』

「…お前が紫耀の事考えるからやん!!」

『…廉、変わってないね…
そうやってすぐ…』

「そうだよ。俺は変わってない。
今でも、Aが好きなんや」

廉の今の言葉は、キス以上に驚いた。

『…え？』

「ずっとずっとAが好き。
会えんくなって、連絡も取れんくなっても
俺は、Aの事が忘れられんかった」

『…嘘つき』

「は？」

『だって未だに女の子との情報出てるじゃない。
他の子と遊んでるくせに信じれるはずないから』

「なんでそうやって
本当か嘘かも分かんない情報信じるん？
今Aの目の前にいる俺が、
Aが好き言うてんねんで？」

『…それでも、無理なの…
廉の事もだけど…
…もう、ジャニーズと関わりたくない。
世界が違うの。
私は、紫耀や廉と違ってただの一般人なの!!』

「そんなの関係ないから。
…なぁ、俺を信じてよ…」

廉を無視して、
私は、カバンを持って立ち上がった。

「おいA」

『店長には私から伝えて謝っとくから』

それだけ言い、振り返らず急いで店を出る。

…やめて…

…もう、私をかき乱さないで…