匂恋。３ (ページ18)

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___ 大阪。ページ18

「Aちゃん、大阪は慣れた？」

大阪に越して半年。

『まだたまに駅とかで迷いますが
環境にはだいぶ慣れました』

東京とは違う華やかさ。

毎日が新鮮で、
やっぱり、大阪に来たおかげで前向きになれた。

紫耀の事を思って泣く日々も減った。

「今日は俺の親戚の子が来るから
貸切にするで、もう店は終わらすな。
せやからAちゃん上がってええよ」

『あ、有難うございます。
じゃあお先に…』

上がろうとした時、お店のドアが開いた。

「おじさん!!」

「おお、大吾!!待っとったで」

満面の笑みで入ってきたのは…

『…え、大吾くん？』

間違いない。

あの、大吾くんだ…

「Aちゃん、大吾知っとんの？」

『知ってますよー!!
今日来る店長の親戚って事は、
店長と大吾くん親戚なんですか？』

「そうそう。
昔はあんなに小さかったのに
今じゃこんなにかっこよくなってなぁ…」

いつもの店長とは雰囲気が変わり、
大吾くんにメロメロの店長(笑)

でも思い出してみると
そういえば店長の名字西畑だったっけ。

「大吾なにがええ？
お腹空いてるやろ？
大吾の好きなもん何でも好きなの作るで」

「あ、待って。
今俺のツレも…」

カランコロンと、もう一度ドアが開く音と共に
ドアの方に目を向ける。

瞬間、息が止まった。

「今日は俺の友達も連れてきたねん♪」

…嘘、どうして…

向こうも私に気づき、動きが止まる。

「…どうしたん？はよ…」

「…A…」

私を呼ぶ、懐かしい声。

私は何も言葉が出ずにいた。