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「父ちゃんと母ちゃんにさ、俺は元気だよって伝えといてくれよな」
諦めたように、お願いな、と笑う智くん
智くんに会えたら、話したいことも、聞いてもらいたいことも、本当はたくさんあったけれど
だけど
「ねえ、智くん」
「ん？」
「智くんは・・・今、嬉しい？唄い手に選ばれたこと、良かったって思ってる？」
智くんの顔に浮かぶ表情の、沈んだ色がどうしても気になって、気付けばそう口にしていた
.
.
「・・・分かってるんだ」
小さな、小さな声だった
「こんなこと、思っちゃ駄目だって、分かってるんだ」
僕の問いかけに揺れた瞳は、逃げるように目線が下がっていって、伏せた目を縁取る睫毛が、頬に影を落とす
「名誉なことだから、喜ばねえといけないって、分かってんだよ」
・・・でも、さ
そう、ぽつりとこぼして、力なく顔を上げる
「俺は・・・唄い手なんて、望んじゃいなかった。ただ歌うのが好きなだけ。それだけ、だったんだ・・・」
「うん・・・」
「アポロの為とか、国の為とか、そんなの、どうだって良かった。俺は、俺が好きなように、自由に歌えれば、それで良かったんだ・・・」
「うん・・・」
「村に帰って、父ちゃんと母ちゃんに、会いたいのにっ・・・」
「うん、うん・・・」
「このまま、もう二度と・・・みんなに会えないなんて・・・嫌、なんだ・・・」
止めどなく流れる涙が、智くんの頬を濡らしていく
震える声で、吐き出すように叫んだ智くんの姿に、僕はたまらず手を伸ばして、ぎゅっと抱きしめていた
震える背中をさすりながら、肩口が湿っていくのを感じながら、ただただ、そうやって寄り添うことしか出来なかった
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しゅり(プロフ) - きよさん» きよさん、コメントありがとうございます！ 翔くんについつい辛い役回りをさせてしまいがちで、申し訳ない限りです。 やっとこさ移行が完了しましたので、是非またお立ち寄りいただければと思います(*^^*) (2020年9月22日 18時) (
レス) id: 9366a89cfd (このIDを非表示/違反報告)
きよ(プロフ) - しゅりさん、お疲れさまです。お話し楽しく読ませてもらっています。翔くん健気すぎますね。身代わりになったとき智くんの気持ちを思うと辛いです。ハッピーエンドになると嬉しいですが、続きを妄想しながら更新お待ちしています。 (2020年9月19日 14時) (レス) id: ae2dee5c90 (このIDを非表示/違反報告)
しゅり(プロフ) - あかりさん» あかりさん、コメントありがとうございます！一応金曜日頃までは更新予定ですので、引き続き足を運んでもらえたら嬉しいです(*^^*) 数日お休み頂いたら、また毎日更新頑張ろうと思いますので、是非楽しみにしていて下さい！ (2020年9月16日 21時) (レス) id: 9366a89cfd (このIDを非表示/違反報告)
あかり - 毎回更新されるのを楽しみにしています。移行のためしばらくお休みされるのは残念ですが、待つ時間も楽しみたいと思います。 (2020年9月16日 14時) (レス) id: 43ef596bac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しゅり
| 作成日時：2020年8月30日 16時
