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小学五年生の夏休み、俺は一人で田舎のじいちゃんの家に遊びにきていた
なんで俺一人だけだったのかなんて、流石にもう、思い出すことは出来ない
けれども、夏の間そこで過ごしているうちに地元の子どもと遊ぶ機会も増え、
そのうち、毎日一緒に過ごすほどの仲に進展した子がいた
それが、彼・・・翔くんだった
.
.
「智くん!」
「おお、翔くん。どした?」
「あのね、今度の日曜日、あいてる?」
「んー、多分大丈夫だけど」
八月の最後の週、いつものように翔くんがやって来るのを待っていた、二人だけの秘密の遊び場
その日、翔くんは走って乱れた息もそのままに、俺の手を取り聞いたのだ
「隣町でね、この辺りじゃ一番大きなお祭りがあるんだ。もし、まだ誰とも約束してないなら、僕と一緒に行って欲しくて」
「俺はいいよ。こっちで他に仲いい子とか、あんまいねえし。でも翔くんはさ、学校の友達と約束したりしねえの?」
「いつもはみんなと行くんだけど。でも、今年は智くん帰っちゃうから・・・。だからその前に、一緒に最後の思い出作り、したくて」
俺より一個下の翔くんは、田舎の子どもにしちゃ色白で、話し方も訛りなんて一切無くて、俺なんかよりも凄くしっかりした子だった
それなのに、何故かこんな俺のことを慕ってくれてて、実家が営むガラス工房の手伝いを終えたら直ぐに俺のところにやって来ては、日が沈むまで一日中、ずっと一緒に遊んでいた
「俺と夏祭り行ってよ。ね、いいでしょ?」
「ん、分かった。一緒行こうな」
「うん!!」
普段はしっかりしてるくせに、嬉しそうに頬染めて笑った顔を俺の前で見せてくれることが、なんだか無性にくすぐったい気持ちがしてたんだ
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suzurinrin(プロフ) - しゅりさん、新しいお話拝読させていただきました。切なくて胸がギュッとくるお話でしたが最後はいろんな想像が膨らみ温かな気持ちになりました。しゅりさんの創られるお話、本当に大好きです。ゆっくりで構いません。これからもどうか執筆 続けてください。待ってます (2019年9月7日 12時) (レス) id: 358d000b2c (このIDを非表示/違反報告)
しゅり(プロフ) - セツさん» セツさん、コメント頂きありがとうございます!素敵な感想を頂けて作者冥利に尽きます。 時間の余裕があれば、彼らのお話をまだまだ紡いでいきたいと思います。長くお待たせしてしまうかもですが、楽しみにして頂ければ幸いです。お立ち寄り頂き有難うございました! (2019年9月6日 19時) (レス) id: 9366a89cfd (このIDを非表示/違反報告)
しゅり(プロフ) - きよさん» 私も彼らのお話をまだまだ書いていきたいと思います。時間の余裕があれば続編or番外編も考えていますので、気長にお待ち頂ければ幸いです。 お立ち寄り頂きありがとうございました!これからも応援いただける様頑張ります! (2019年9月6日 19時) (レス) id: 9366a89cfd (このIDを非表示/違反報告)
しゅり(プロフ) - きよさん» きよさん、コメントありがとうございます!何度も読んで頂けて嬉しい限りです。他の作品にも足を運んで頂けてるなんて光栄です。私も普段コメント出来ない人なので、お気持ち分かります。笑 (2019年9月6日 19時) (レス) id: 9366a89cfd (このIDを非表示/違反報告)
きよ(プロフ) - しゅりさん、前回のコメント漢字が間違っていましたね。再開→再会でした(泣)恥ずかしいです。やはり何度読んでも切ないです。「雨宿り」のような続編、番外編、読みたくなります。なかなかコメントしないのにあつかましくて申し訳ないです。 (2019年9月6日 11時) (レス) id: 7f433b7b81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しゅり | 作成日時:2019年9月5日 23時