猫と居酒屋 ページ2
がらりとドアを開けた途端に耳に入る雑音のようなにぎやかな話声。金曜日ということもあり、普通の居酒屋より何倍も騒がしい店内に入ると、個室へと案内された。
するりと開かれるドア。レディーファーストだと先に通してくれるエミさんは、正に紳士そのもの。何故童貞なのだろう。
靴を脱いで個室へあがると見慣れた顔がいくつか。どうやら全員はまだ揃っていないらしい。
「お、Aちゃんやん、先週ぶり。」
「鬱くんだ、今日は早いね?」
「せやろ。」
一番に話しかけてきたのは鬱くんで。彼はいつも一番最後に来るのだが、今日は珍しく予定時間より早めに来ていた。雪でも降るのだろうか。
いつの間にか後ろにいたエミさんと座布団の上へ腰かけ、今来ているメンバーと緩く会話を交わした。
今来ているのは鬱くんとゾム、トン氏にエミさん、ロボロ、グルさん、そして私。
残り来ていないのは彼と、もう一人…。
これから来るであろう人物に気持ちを高揚させつつ、運ばれてきたオレンジジュースに口をつけていると、勢いよく扉が開いた。
そこにいたのは金髪と、茶髪。
「すまん遅れたわ!」
「シッマ遅すぎひん?待ちくたびれたわ〜。」
明るく入ってきた金髪は、コネシマ。すでにゾムが腕を引いては隣に座らせ、餌食にされようとしている。そんないつもの光景なんて気にもせず、私は目の前のその人から視線が外せなかった。
「すんません、コネシマ先輩がミスったせいでこっちまでとばっちり喰らってましたわ。」
コネシマの後ろからひょっこりと顔を出し、そう告げた彼はショッピ君。私の最愛の人。
ずっと見つめていたからか、ぱちりと目が合う。どうしていいかわからず、とりあえず手を振っておいた。無視をされた、悲しい。なんて、こんなのは慣れたものというか彼なりの愛情表現──だと私は信じている──なので、気にしたりしない。
隣をせっかく開けておいたというのに、彼が座ったのは一番遠い鬱くんの隣。ちなみに私の隣にはコネシマが来た。呼んでませんけどあなた。
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作者名:佐藤 | 作成日時:2019年5月6日 2時