【w.r.w.r.d!】三度目の正直【ut】

大学2年生・春 ページ8

このタイミングで、なんでそんなを顔してるのだろう。それ、まるでオムライスに驚いたみたいになってしまうけど。

「……あ、いや、別に」
「なんでたまに、そんな風に悲しそうな顔するの」

私は、今でずっと思っていたことを口にした。宇津橋の瞳が揺れる。

「それは、私が嫌いなことと何か関係ある？」

黙ったままの宇津橋。無言はきっと肯定だ。
私はなにもしていない。なのに、宇津橋を苦しめているのだろうか。

「ないよ」
「本当？」
「ない」

じゃあ、私の目を見て言ってよ。

きっと、私は直接的には関係ないのだろう。
例えば、私に似た誰か、とか。

知らない人との間で何かいざこざがあったのかはわからない。もしもそうだとしたら、宇津橋は私に誰かを重ねていることになる。

……それは、正直癪だ。

宇津橋のどことなくメランコリックな表情が気になった。それだけじゃない、テンポの良い会話だったり、ふとしたときの笑顔とか。私はどんどん、宇津橋に惹かれていくのに。

机には食事が運ばれてきた。へらり、と無理して笑う宇津橋。

宇津橋がなんだかんだ言いつつも、私を駅まで送ってくれたり、こうやってご飯に来てくれるのは、罪悪感からなのだろうか。

そうじゃなくて、少なからず私のことを好いてくれればいいのに。

自分のスマホを握りしめる。友だちの欄には、【宇津橋】の名前。今日はじめて知った連絡先。

きっと前進している。

誰かの代わりでもいい。……ううん、よくない。

「なんや」
「今はまだ、このくらいで勘弁してあげよう」

いつかその、宇津橋の悲しみの理由を知りたい。知った上で、私は宇津橋が好きだと言えたら。宇津橋は、私を見てくれるだろうか。

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