大学1年生・秋 ページ4
「あ、宇津橋」
キャンパス内はもう人も疎らで、外も暗い。そんな薄暗い廊下で見つけた、眼鏡の男に手を振った。私を見て露骨に嫌そうな顔をする宇津橋に構わず走り寄る。
「まぁたお前か、鬱陶しいわホンマ」
「そこまで露骨に避けられると、絡んで行きたくなるでしょ」
「ええ性格しとるな自分」
「ありがと」
「褒めてんとちゃうからな」
私と宇津橋の関係は、多分【知人】か【友人】だと思う。
階段から落ちたときに助けてもらったという一件から、私は宇津橋を見かける度に話しかけるようにしている。
あれから三ヶ月程度が経って、最初は無視ばかりだった宇津橋も、最近では突っ込みを入れてくれるようになった。
「ホンマ、まだ飽きへんの？」
「全然。宇津橋は面白いから」
「人で遊んでんとちゃうぞ」
「別に遊んでないよ、宇津橋じゃないんだから」
「ぐうの音も出ぇへんわ」
私が笑うと、宇津橋も少し笑った。なんだか野性動物を手懐けている気分だ。
「宇津橋、ご飯くらい行こうよ」
「嫌や」
まだ手懐けきれてはいないみたいだけど。
「今から帰るん？」
「そうだよ」
「ふーん」
そう言って宇津橋は私の隣を歩く。こうやって帰りに会うと、たまに駅まで送ってくれる事がある。私のことを嫌いだと言うし、鬱陶しがるのに、ちょっと優しい。
「なに笑てんねん」
「いやぁ、宇津橋は優しいなと思って？」
「どこがや！」
実際、こうやって話をしていると、モテるのも納得できる。話の引き出しは多いし、顔も悪くない。私だって、段々と宇津橋への興味は大きくなっているのを感じる。このままいくと落とされてしまうかもしれない。本人はそれを望んでいないだろうけど。好きな人には冷たくしてしまう、とかいうタイプでもない限り。
「あ、コンビニ寄ってええ？」
「いいよ、なに買うの？」
「晩飯」
「食べて帰ろうよ」
「……」
沈黙。まだだめらしい。ここ数ヶ月で、距離を詰めたとは思う。一緒に帰る程度の仲。
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千白は山に住む(プロフ) - 凡人さん» ありがとうございます！私もお気に入りで、昔かいたものなのについ番外編を書いてしまいます！そう言っていだだけるのならここに更新しに来てよかったー！と思えます！ありがとうございました！ (2020年6月20日 9時) (
レス) id: 392f79c1f8 (このIDを非表示/違反報告)
千白は山に住む(プロフ) - bhさん» 長らくお返事できていなくてすみません！ありがとうございますー！ (2020年6月20日 9時) (レス) id: 392f79c1f8 (このIDを非表示/違反報告)
凡人(プロフ) - 更新されていてびっくりしました。私が本当に大好きなお話です...ありがとうございます！ (2020年6月5日 18時) (レス) id: 0a526fe040 (このIDを非表示/違反報告)
bh(プロフ) - 大好きです、これからも応援しております。 (2020年3月15日 0時) (レス) id: 204dfe46bb (このIDを非表示/違反報告)
千白は山に住む(プロフ) - 水澪恋さん» 最後までお付き合いいただき、ありがとうございました！あげて落とす仕様でしたが楽しんでいただけていたら本望です！ありがとうございます、今後もがんばります(*^^*) (2019年10月12日 20時) (レス) id: f80b5e4d2a (このIDを非表示/違反報告)
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