これもきっと新しい形

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お昼ご飯を食べたあとも、またテレビを見たりお互いの動画を見たりしながら時間は流れていく。その間にもやっぱり話が尽きることはないから不思議。それと合わせて、もう長い付き合いの友達みたいな居心地の良さがあるのも不思議。

これ面白いよ、と勧めてもらったテレビゲームで遊んでいると、そばに置いていた携帯が鳴った。




『今連絡きたんだけど、私あと1時間したらホテルに戻らないといけない』




「じゃあ余裕もって30分前くらいには出たほうがいいね。ちゃんと送り届けるから安心して」


　

『ありがとう』




ロサンゼルスで過ごすのもあと数時間。
それより先に、こうやって翔平さんと過ごすのもあと少し。

それにしても2日間が濃すぎて、昨日から突然始まった出来事だなんて思えない。だからこそもっと話す時間も欲しかったし、お互いをゆっくりと知る時間が欲しかった。そう思うと余計に寂しくなるから、寂しく思うなんてさらに欲が出てしまいそうだから、そっと気持ちに蓋をして平常心を保つ。




『……私は今日日本に帰って何日か空いて日本公演が始まるんだけど、翔平さんはシーズンオフ中なにするの？』




「トレーニングとかあとはスポンサーさんの仕事とかかな。……あ、あと言ってなかったけど、Aさんの2日遅れで俺も日本帰るよ」




『え、』




「オフ中は去年も日本でトレーニングしてたし、多分来年の頭くらいまではずっと」




会えるのは今日が最後かと肩を落としていた私に飛び込んだ朗報。聞いてもいいかな。欲深いと思われないかな。

いいやもうこの際だ。もしかしたらこれきりになってしまうかもしれないのだから、聞くだけ聞いてみればいい。




『…………日本でも会える？』



「ん〜…会いたい？」




勇気を出しておずおずと切り出した私とは反対に、翔平さんはいたずらっ子のような笑みを浮かべて目線をこちらにやる。きっと返答など分かっているはずなのに、いじわるな人。

そう思うとなんだか、このまま答えるのは負けたような、悔しいような気がして口をつぐむ。翔平さんの読み通りにはならないよ、なんて心の中で悪態をつく。

視線が交わるとたったの数秒も時が止まったよう。返答せずにいると、翔平さんも何も言うことなくじっとこちらを見たまま。するとしばらくして、目の前の顔はふっと口元を緩めた。




「…なんで何もいわないの。会いたいんでしょ」







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