夢ノ咲学院アイドル科生徒ファイル ページ9
猫を大事そうに抱え、ばつが悪そうに困った笑みを浮かべる青海紫燕、御年47歳。
あ、アオミ シエンと読みます。
年の割には若く見えて、茶目っ気もあるこの人。何でだろうか、責める気にはならない。
「……まあ、父さんが良いなら、それで良いや」
「くれぐれも内密にね?立場上、叱られる事はないだろうけど、知られたら色々とまずいから」
そう言いながらも、飼い猫と戯れ続けている。
今、悪気と愛情を天秤にかけたら、恐らくものすごい勢いで愛情に傾くんだろう。それも悪気がテコの原理によって空高く吹き飛ばされるくらいに。
20%の悪気、オーバーフローして100%の愛情、といったところか。
「うん、誰にも喋らない。シーク達以外には」
「ありがとう、ジゼル」
こっちだって、理事長である父が校則違反してます、だなんて噂を立てられたら、都合が悪い。
「ところで、どんな用事なの?」
「ああ、そうだったね。これを渡そうと思っていたんだ」
そう言って簡易的な冊子を一つ手渡される。
「ジゼルを信頼して渡したんだ。扱いには気をつけるんだよ」
数枚、紙を捲ってみると、アイドル科生徒の個人情報だった。名前や所属ユニット、趣味に特技……キャッチコピーやCVまで記載されていた。
CV?何の事だろうね?
僕にはちょっとよく分からないや笑
制服姿とユニット衣装姿の写真が掲載されているが、みんな揃いも揃って綺麗な顔をしている。
乙女ゲームのキャラ設定のようだった。
それにしたら攻略対象が多過ぎか。
あ、クロウ発見。
嫌い:女装、水泳
…………へえ。
「カウンセリングするにあたって、ある程度、事前に彼等の事を知っておいた方が良い。生徒よって接し方も変わるだろうし。ね?」
「分かった。これでも記憶力は良い方だから、なるべく早く暗記して処分するよ」
ひととおり捲ると、紙の枚数は多く見積もって25枚。両面刷りだから1枚の紙に2名。すると約50名か。
これくらいなら、大丈夫だろう。
ん?待て。あの広い校舎に全学年50名?
そんなわけないだろう。
不可解な事案に頭を悩ませていると、一番最後のページだけ、書式が違う事に気付いた。
『モブ生徒一覧』
おお……沢山いる……
夢ノ咲の闇を垣間見てしまったかもしれない。
もっと書き方があるだろう。
モブに無慈悲すぎやしないか。
「うん……メイン中心になら覚えられるはず」
「ふふ、頼もしいね。これからシークとの面談だろう?読んでおくと良いよ。まあ、ほとんどの事は知ってるだろうけど」
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流離いのsecret(プロフ) - ぎゃぁぁ本当だ……!ご指摘ありがとうございます! 細かいところまで読んでいただき嬉しいばかりです笑 (今後気を付けます笑) (2019年7月13日 22時) (レス) id: 451ca50573 (このIDを非表示/違反報告)
しか - ごめんなさい。「混沌」でした!! (2019年7月13日 21時) (レス) id: 3bc0209618 (このIDを非表示/違反報告)
しか - 「悩み」の話の「敬人」が「敬斗」になってますよ(コソッ面白かったです。これからも頑張ってください! (2019年7月13日 20時) (レス) id: 3bc0209618 (このIDを非表示/違反報告)
流離いのsecret(プロフ) - ありがとうございます!頑張ります!(語彙力ない)笑 (2019年6月24日 14時) (レス) id: 451ca50573 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - 面白いです(語彙力ない) (2019年6月23日 21時) (レス) id: 19c16fa711 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:流離いのsecret | 作成日時:2019年5月2日 14時