アゲハ ページ35
僕より15cmほど背の低い影羽は、僕を見上げるかたちで抱き付き、
「…………嬉しい」
蚊の鳴くような小さな声で呟き、僕の胸に顔をうずめた。
僕以外の人には絶対にこんな事はしないのに。なついた仔猫みたいで本当に可愛い。この世に生きる男性の中で、2番目に可愛い。
あ、一番はクロウ。クロウよりも女装が似合う男性なんて見たことがないし、見る気もないよ。
シークは……勿論僕からみたら最高に可愛いわけだけど、世間一般に言う「可愛い」とは少しずれているらしい。
これなら冷たい風に吹かれても暖かいなんて思いながら暫くこうしていると、
「影羽、掃除は終わ……」
40代くらいの男性が脇から歩いてきて、僕ら二人を見て固まった。この神社の住職にして影羽のお父様だ。別にやましい事は何もないが、まずいところを見られた、と思った。
咄嗟に離れようとしたが、影羽が僕を放してくれなかった。
「影羽……」
信じられない、といった顔で歩み寄って来るお父様。
「遂に彼氏ができたのか……！？」
何？
「俺は嬉しいぞ！人と関わって来なかったお前がジゼル君のような素晴らしい人を彼氏をするなんて……！」
影羽はれっきとした男の子だぞ。彼氏って何だ。
「…………」
だが影羽は否定せず、ただ恥ずかしそうに僕の後ろに隠れている。
「いえ、あの僕は」
「うん？」
「僕は単なる友達ですよ」
「友達？」
影羽のお父様は僕と影羽を交互に見て、
「お友達……か」
お父様は少々肩を落とした。
「え？影羽兄に友達？！」
地面に敷き詰められた小石をザクザクと踏み鳴らしながら、小走りに駆けよって来た青年。
影羽の弟、月城
確か、Aと同じ3-B所属。
「揚羽、どうした」
「いや、影羽兄が戻ってくるの遅かったから、どうかしたのかなーって。でも！」
力強く僕に一歩踏み出して、
「ジゼルさんと逢瀬してるとは！」
「…………ぃゃ」
それを聞いた影羽は、ジゼルに迷惑だ、と父と弟を押しやった。
「え、ちょ、ごめん茶化しすぎた！」
「はは、影羽は恥ずかしがり屋さんだなぁ」
「あ、影羽兄、ちょっと待って！……ジゼルさん、この時間シークって何やってるの？」
影羽に無理矢理押し戻される前に、揚羽くんは質問を投げ掛けた。
「ん？シーク？そうだな……Aやクロウとイチャついてるんじゃないかな」
決まった行動はしないタイプのため返答に困ったので、冗談にもとれる事実のみを返した。
「……そっかぁ」
揚羽くんは妖艶に笑った。
休日: 朝→←Cluster-Amaryllis〜クラスターアマリリス
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流離いのsecret(プロフ) - ぎゃぁぁ本当だ……！ご指摘ありがとうございます！ 細かいところまで読んでいただき嬉しいばかりです笑 (今後気を付けます笑) (2019年7月13日 22時) (
レス) id: 451ca50573 (このIDを非表示/違反報告)
しか - ごめんなさい。｢混沌｣でした!! (2019年7月13日 21時) (レス) id: 3bc0209618 (このIDを非表示/違反報告)
しか - ｢悩み｣の話の｢敬人｣が｢敬斗｣になってますよ（コソッ面白かったです。これからも頑張ってください！ (2019年7月13日 20時) (レス) id: 3bc0209618 (このIDを非表示/違反報告)
流離いのsecret(プロフ) - ありがとうございます！頑張ります！(語彙力ない)笑 (2019年6月24日 14時) (レス) id: 451ca50573 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - 面白いです(語彙力ない) (2019年6月23日 21時) (レス) id: 19c16fa711 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：流離いのsecret | 作成日時：2019年5月2日 14時
