＿ ページ6
.
「そうだ。今日泊まっていっていい？」
彼女がスマホの画面を見ながらそんなことを言う。
「....何で」
「ダメなの？」
「....いや、」
彼女への気持ちなどゼロになってしまった今、出来ることなら距離を置きたい俺にとってこの提案はそう簡単に飲み込めるものではなかった。
「予定あるの？」
「....ない」
「じゃあ泊まってこーっと」
彼女は俺の表情を読み取ることはしない。
いつも自分優先で、俺はそんな彼女にずっと合わせてきた。そんなことは以前と変わらないことなのに、今ではどうにも疎ましく思えてしまう。
....早くAに連絡したいのに。
そんな気持ちに気付いているからなのか、彼女は俺の側を離れようとしない。
自分の家なのに、酷く居心地が悪かった。
.
その日の夜。
「翔太」
彼女は背を向けて眠る俺にそっと触れた。
「ねぇ、久しぶりにさ、」
「....ごめん、疲れてんだよ」
「....」
この拒否は建前で、彼女にそんな気持ちが一切起こらないのが本音だった。
「じゃあ私が動くから、」
彼女はいやらしい手付きで俺の脚に触れる。
「....まじでやめて」
「翔太はそのままでいいから」
彼女が這わせた手を止めると、酷くショックを受けたような顔をしていた。
「....なんでよ、」
「....」
「私、もう30なんだよ....？」
「....」
「翔太には分からないかもしれないけど私にはタイムリミットがあるの！」
彼女は瞳をゆらゆらと揺らしながら、俺を虚ろな目で見つめた。
「分かった....さっきの子に唆されてるんでしょ、」
「は....？」
「知ってる？今時の子ってね、年上の男と遊ぶのがステータスだと思ってるんだよ？若い子にちょっかい出されてちょっと浮かれちゃっただけだよね？翔太は遊ばれてるの。ね？今なら許してあげるから、いい加減目を覚ま....」
「あの子はそんな子じゃない」
俺の淀みのない言葉に彼女は酷く動揺した。
「....やっぱりデキてんじゃん」
「....違う」
「違うなら私と結婚してよ！！」
声を荒げた彼女は薄らと涙を浮かべて肩を震わせた。
「何で私じゃダメなの....」
「....こんな状態で、結婚したいなんて思えるわけねぇだろ」
彼女は言葉を失ったように黙り込んだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3471人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
cleam(プロフ) - 彩海さん» お返事が遅くなり申し訳ないです....！楽しんでいただけたようで、本当に嬉しいです（ ; ; ）ありがとうございます（ ; ; ）現在連載中の作品など、他の作品でも楽しんでいただけたら嬉しく思います！ (2021年11月29日 23時) (
レス) id: c295088e12 (このIDを非表示/違反報告)
彩海(プロフ) - 苦しいくらいぎゅんぎゅんさせていただきました……。cleam様の書くお話は全て苦しいです！！(もちろんいい意味です)完結お疲れ様でした、今後もお世話にならせて頂きます、笑 (2021年11月17日 22時) (レス) @page49 id: b8d91d7ead (このIDを非表示/違反報告)
cleam(プロフ) - つばささん» わー！よかったです（ ; ; ）幸せになるシーンが少なかったので、短いながらにお届けしてみました....！楽しんでもらえて嬉しいです（ ; ; ） (2021年11月13日 21時) (レス) id: c295088e12 (このIDを非表示/違反報告)
つばさ(プロフ) - にゃー！甘々すぎて胃もたれしそうです…♡(略：最高です♡笑)更なる幸せそうな二人まで書いて下さって心がホッコリしました♡本当にお疲れ様でした(^^) (2021年11月11日 23時) (レス) id: a84a28701a (このIDを非表示/違反報告)
cleam(プロフ) - センさん» ありがとうございます！続きをと仰っていただけることがとっても有難いです（ ; ; ）ただもう残りページがほぼないので超短編になりそうですが、なんとなく浮かびそうなのでまた出してみますね＾＾気長にお待ちいただけたら幸いです！ (2021年11月8日 23時) (レス) id: c295088e12 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：cleam
| 作成日時：2021年10月25日 22時
