Love Short WESTories (ページ38)

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『はぁ～あ。せっかく帰ってきたのにうち何してんねやろ…。』

田んぼの畦道を歩きながらボソッと呟く。

ほんまに、もう23にもなるっていうのに。うちは子供か。

？「A！！」

ん？この声…？

振り向くのが怖かったけど、恐る恐る振り向くと、

そこには息を切らした照史が居た。

『照史…？どしたん？』

うちがそう聞くと、照史は「どしたんちゃうねん！」と真剣な顔で言った。

桐山「こんな日ぃ暮れかかってる時に女の子が1人で歩いとったら危ないやろ！

それに急に黙って飛び出してくし！」

照史は昔からそう。

何か私が悪いことをしたり、みんなを心配させるようなことをするとこうやって怒ってくれた。

照史はしばらく怖い顔をしていたけど、

少し経ってから糸が切れたように表情がふにゃっとなって、

桐山「ほんっまに変わってへんなぁ。」

って笑った。

見るととても安心する笑顔。

『…ごめん、なさい…。』

桐山「ん、よく言えました。」

うちが謝ると、頭にでっかい手を置いてぐしゃぐしゃってしてくれるのも昔から変わらない。

桐山「それにしてもなんで出てったん？」

いきなり核心をついてくる照史。

あなたにフラれたからです。…なんて言えるわけもなく。

『いや、天気良かったから？』

桐山「この天気見て良いって言う人おるか？嘘やろ？」

『…嘘。だけど言えない。』

桐山「ふ～ん。

…この道2人で歩くのなんて何年ぶりやろな。」

『せやな～。懐かしいわ。』

桐山「な。」

小学校1年生の時。

私は小柄でランドセルが重すぎて後ろにひっくり返っちゃったことがあって、

当時4年生だった照史にめっちゃ笑われて1週間くらい口をきかなかったこと。

中学校2年生の春休み明けの初めての登校日。

それまで毎日一緒に学校に行ってた照史がいなくなって

寂しくなって泣きながら登校してたら照史が走ってきてくれて

それから1ヶ月くらい学校まで一緒に電車に乗って送ってくれたこと。

ただの1本の畔道だけど、思い出がいっぱい詰まった大事な大事な1本道。

でもあとから照史には好きな人がいるっていう事実が追いついてきて

また涙が出そうになる。

すると沈黙を破るように照史が口を開いた。

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