小説の「文」の書き方講座

三十四歩目「地の文の視点〜三人称視点の一人称寄り〜」 ページ35

そして、一人称視点では限られていた「情景描写」を入れる場所が、三人称視点では完全フリーとなります。どこにいれても違和感ゼロです。キャラたちが会話しているところに突然風を吹かせても、何もおかしくありません。
だって神様視点ですから。神様はあらゆるものを記録するのです。

いろんなキャラの心情を書くことができるぶん、必然と心情を入れる場面は減ります。「○○はこう思っていたが、△△はこう思っていた。□□はまた違うことを考えていた。」と一気に入れてしまうと、誰が何を考えているのか指差し確認しないと間違えちゃいます。
読むのに疲れちゃうのでこれはアウトです。なので安易に心情を入れることができないんです。

とすると、相対的に情景描写が増えていきます。心情が減って穴が空いたぶんを補わなくてはなりませんからね。まさか、心情がなくなったところをそのままにして、地の文を減らすわけにはいきませんし……。

なので、情景描写に嫌われている人はむいていないわけです。あれ、私の小説って地の文めちゃくちゃ多いけど、もしかして翡翠月ちゃんと情景描写できてるのでは……？

情景描写苦手だし地の文へたくそだけど、視点ころころ変わるし、三人称視点使いたい……！

そんなあなたに二つ目の三人称視点！！！！
その名も三人称単数視点！！！(記憶があいまいなのでちょっと違うかもしれない)

これは一人称視点寄りの三人称視点と言うとわかりやすいかもしれません。
は、どこが？三人称なのか一人称なのかはっきりせんかい！！！！！と思うでしょう。大丈夫、ちゃんと説明します。

要は、一人のキャラに肩入れする神様視点です。キャラと同じ目線で神様が解説しています。
なので多少話し言葉寄りでも許されますし、心情多めもあり！さらにほかのキャラの心情も一緒に書いていいという、一人称視点と三人称視点のいいとこ取りみたいなもんです。
あくまでもメインは三人称視点なので、情景描写はどこに入れても違和感なし！

私が使っているのはこの三人称単数視点に限りなく近いと思っています。神様の解説に自我が芽生えたようなもんなので、キャラ視点じゃないのに「なんてこともあるだろうが」とか「いや、そんなことより」なんて話し言葉(？)がガンガン入ります。

ただ、あまり一人称視点に寄りすぎると、ほぼ一人称視点みたいになってしまって、ほかのキャラの心情を入れた時にあれ？？となってしまうことも多いです。神様がキャラに吸収されないようにしましょう。

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