寝ても覚めても。２ (ページ14)

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持田「…A」

よしよしって、もっちーが頭を撫でてくれる
泣き止みたいのに

「もうやめたい」って
和くんを好きって気持ちを終わりにしたいって
そう言葉にしたら、
自然と涙が止まらなくて

やめたいなんて嫌だよ
でももう無理なの。つらいの。しんどいの。

こんな気持ちは初めてで

潤「……なんでそんなに、あいつが良いの？」

「・・・…分かんない」

潤「分かんねーなら、」
持田「松本くん、やめな」
潤「……」

もっちーが、松本くんの言葉を止めた
和くんが良い理由なんて分かんない
だって、気づいたら、ずっと特別な人だったんだもん

どうして特別かなんて、そんなの理屈じゃ分かんない

グ、と言葉を止めた松本くんが
ふー、って深いため息をついた

潤「…ごめん、分かるよ」
「…ん？」
潤「俺も、何でか分かんないけど、どうしても好きなやつがいて」
「……」
潤「そいつのこと、さっさと諦めたいのに、諦めたくないって思ったりとか」
「……」
潤「…分かるよ、そういう気持ち」
「……」
潤「分かる」
「……ふ、」

潤「すっげ、…好きなんだよな」

友達が、自分も一緒だよ、と言ってくれる
気持ちをわかってくれる

まっすぐ私を見つめて
「分かる」って言ってくれた松本くんは
まるで「好きでいたっていいんだ」って言ってくれてるみたい

ちょっと辛そうな声なのに
瞳はまっすぐで、…松本くんも、叶わぬ恋をしてるのかな

うー、ってまた涙がこぼれた私を
はは、って笑って
バーカ、と前髪をするんと撫でられた

翔「あれ？」

聞きなれた温かい温度の声
この声は、大好きなお兄ちゃん

だけど、今は、ビクン、と大げさに体が反応してしまう

大好きだけど、会いたくない人たち
きっとお兄ちゃんがいるということは。

和「A？」
智「…どーした？」

咄嗟に松本くんの腕に顔を隠す
それに一瞬驚いた反応を見せた松本くんも
すぐにわたしを隠すように体を動かしてくれる

翔「どうした？」

心配そうなお兄ちゃんの声
だけど、何にも答えられない、泣き顔を見られたくない
今まで何度も泣き顔なんて見られてきてるのに

今のわたしの顔が
仲原さんへの嫉妬でひどい顔だから。

この３人に気付かれたら…

その恐怖で、言葉が出てこない

翔「…松本？」
潤「……すみません、コイツ、腹痛いみたいで」

和「…A？」

大好きな声が近づいた気配に

ビクリと体が強張った

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