【実況者】猫みたいな君Part3【キヨ】

89 ページ9

.

失恋した事も、キヨくんの過去も
全部が痛くて痛くて
涙が止まらなくて

泣くのは私じゃない
泣きたいのはキヨくんのはずなのに

泣くな、って頭をわしゃわしゃされて

ああ、またキヨくんに慰められてる。
私ばっかり助けられてる。

.

私もキヨくんを助けたい..のに。

.

そう思うと、考えるよりも体が勝手に動いて
座ったままキヨくんを抱き寄せていた。

.

抱きしめた後に、何してるの私って我に返ったけど

私の腕の中で抵抗しようともしないキヨくんを離したら、壊れちゃいそうで、どっかに行っちゃいそうで

「..無理して笑わないでキヨくん」

.

「話してくれてありがとうね」

.

キヨくんのふわふわな頭をぽんぽんと撫でると、微かにシャンプーの香りがした。

.

「私は大丈夫だから！私の気持ちも、全部忘れていいからね。」

ほんとは、忘れないで欲しいけど
キヨくんの負担になりたくないし

これ以上悩んだり迷ったりさせたくない。
こんな辛い顔させたくない、から。

.

.

キヨ「..忘れねえよ馬鹿」

ぽつり、とそう言うとキヨくんの片方の腕が私の腰にまわってくる。

片腕でぎゅ、と抱き締められて
諦めようって決心したはずの恋心が
一気に溢れてきてしまう。

.

キヨ「..嬉しかったよ、ありがとう」

.

そう言うと、腕の力が緩められて

キヨ「旅館戻ろうぜ、明日もあるし。」

キヨくんは立ち上がり、旅館への道を戻って行った。

.

90→←88

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す