願いだけ、ここに2 ページ23
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『ずっとおんなじって、ないのかな…』
誠也「……」
『当たり前やったのが、そうやなくなってもうたのが……怖い』
誠也「怖いな…。それに、悔しいな」
いまだに小さなその手は
行き場を彷徨わせるかのように
自分の手や服をいじっている。
やっとの思いで呟いているであろう声は……
震えていた。
そんな姿に、末澤は
胸がキュッと押しつぶされそうになりながら、
少し力を込めてAの身体を抱き寄せた。
ぎゅーっとしばらく抱きしめて………
ひとつ。
深く深呼吸をしてから、
誠也「俺もおんなじ気持ちやで」
『せーやくん、も…?』
水分量が増してきたおっきな目で
見上げる玲奈の目を見つめながら
そっと腕の力を緩めた末澤はこくっと頷いた。
それから、左手は優しく頬に添え、
右手はちっちゃな背中を包み込むようにして
ゆっくりとリズムを刻む。
末澤自身も思いはたくさんある。
それはもう、
言葉では言い表すことができないほどにたくさん。
誠也「Aとおんなじ。」
込み上げてくるものがあったけれど、
今は目の前の子の心を1番に思いたい。
誠也「でもな…?一緒に過ごした時間がなくなるわけやない」
『……』
誠也「絶対になくならへん。」
『……ほんまに?』
誠也「ほんまに。思い出ってな?誰にも奪えへんねん」
『じゃあ……、もしまた寂しくなっても、なくなったわけやない?』
誠也「そうや。一緒に笑ったり泣いたりしたたくさんの思い出は、Aのここに、ずっと生き続けてんねん」
『ここにずっと…』
末澤がAの手を取り、
胸に当てさせて伝える。
優しいけれど、真剣な目をした末澤の言葉を
Aはゆっくりと確かめるように繰り返す。
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作者名:R | 作成日時:2025年11月16日 20時


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