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ああ、でも。
これだけじゃ終わらない。
きっと拗れる。
「智くん、帰ろう！課長、お疲れさまでした。」
智くんの腕を引いて歩きだした。
智くんは課長に振り向いて
「櫻井さん、じゃーねー！Aの事はあげないからねー。」
って言うから、泣きたくなった。
振り向いて課長に謝りたいけど
課長がどんな顔してるのか見るのが怖くて
振り向く事ができなかった。
駅まで歩いて、やっと智くんの腕を離したら
「久しぶりにあった兄ちゃんに冷たいじゃん。」
「いつ帰国したの？」
「ん？先月。」
「連絡してくれなかった。」
「連絡したら喜んで迎えてくれんの？」
.........
「実家に住んでるの？」
「んにゃ、今家探してるからホテル住み。」
「ひと月も？」
「そ。もうこのままホテルに住んでもいいかなって思ってる。どーせ帰って寝るだけだし。」
「じゃ、実家に帰ればいいじゃない。都内なのに。」
「Aがいないのに？意味ないじゃん。ならAも実家に戻る？」
「やだ。」
「だろ？(笑)」
智くんは私の頭を撫でる。
私の頬に触れる。
私はその手を外しながら
「おやすみなさい。」
それだけ言って離れた。
「A」
「あいつのこと好きなんだ？」
何も答えないで改札に向かって走った。
家に帰っても落ち着かなかった。
心から嬉しくて楽しくて幸せな1日だった。
だけど
智くん。
会いたくなかった訳じゃない。
会いたいシチュエーションではなかっただけ。
大好きだった智くん。
ううん。
今も大好き。
家族だから。
兄妹だから。
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作者名：ハルヒ
| 作成日時：2019年10月21日 20時
