記憶219 ページ30
両親が来た。
二人とも大号泣した。ここまで泣いている両親を見るのは初めてで、私はなんだか気恥ずかしくなると同時に貰い泣きしてしまった。
泣き腫らして、少し落ち着いてから私は自分の体のことを聞かされた。
事故で頭部を怪我した事が原因で、私は下半身が思うように動かせなくなったこと、リハビリをすれば日常生活には差し障りない程度まで回復が望めること。
学校へは数日入院して問題が無さそうであれば通えると言われた。通ったところで車椅子生活。周りの人に迷惑をかけてしまうのではと思ったため、素直には喜べなかった。
先生は必要なことを話終えると、何か問題があったら呼んでくれと言ってどこかへ行ってしまった。
残された両親と私。両親に鞄に入っていた花について聞くと知らないと言われた。父は気味悪がったが、母は私の友人がやったのではと明るく言った。
数時間後、その友人が来た。
二人とも泣いた。私はそれを見てまた貰い泣きして、両親も涙を浮かべていた。
ノートのお礼を言って、ある事を付け足した。
「テスト、良い点取れた? 私に遅れた分教えてくれるんでしょ?」
悪戯を仕掛けた子供のように二ヒヒと笑う。
すると二人は私の問いに答えることなく、なんで知っているのかと驚いていた。
(あれ……? なんでだろう)
看護師さんから聞いたのはノートの件だけ。両親もそんな話はしていなかった。けれど、そんな気がした、とかではなく確実に自分の記憶として残っている。二人がそう話していたのを私は覚えている。
「夢の中で二人に会ったから……かな?」
自分でも何を言っているのか分からなくなり疑問形になった。そして自分がかなり恥ずかしいことを言っていることに気付いて、忘れてくれと慌ててお願いした。
それに構わず、母がどんな夢だったのかと聞いてきた。
しかし思い出そうとしても思い出せない。
「あんまり覚えてない。でも、なんかすごく楽しい夢だった気がする」
何も思い出せないのに、思い出そうとすると心が暖かくなる感じがした。だからきっと楽しい夢だったのだろうと思った。
友人にも鞄に入っていた花について聞いた。二人とも知らないと首を横に振って、その場にいる全員が心霊的なものではと考えたが深くは考えないことにして、とりあえず花瓶に生けることにした。
その日の面会時間はあっという間に終わってしまった。
554人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「忍たま」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しおむすび(プロフ) - 夜分遅くにすみません。少し昔に拝見したこの作品、またRKRNに加熱したので少し覗いて見たら、これがもうどハマりしてしまって…登場キャラの細かな心理描写、細部の設定などに心打たれました。これ以上のRKRN夢は存在しません!これからも頑張ってください! (3月23日 0時) (レス) @page50 id: 85b974bf49 (このIDを非表示/違反報告)
小学7年生(プロフ) - あみさん» あみ様、コメントありがとうございます!何年経っても色褪せない作品、それがnntm(RKRN)ですから…!もったいないお言葉、恐縮でございます。これからも良き夢ライフをお過ごしくださいませ! (2月3日 8時) (レス) id: 01b7521881 (このIDを非表示/違反報告)
あみ(プロフ) - 16で忍たまに加熱、22歳で再加熱した者です。処女作とは思えないくらいストーリーや伏線がきっちりしてて、とても素晴らしい作品でした!😭ひとまずは今回の長編執筆お疲れ様でした! (1月22日 16時) (レス) id: 4a1c0578e6 (このIDを非表示/違反報告)
小学7年生(プロフ) - riemoa0323さん» riemoa0323様、コメントありがとうございます!お返事が遅くなりすみませんでした。そう言っていただけてなによりです。こちらこそ、閲覧いただきありがとうございました! (11月26日 22時) (レス) id: 01b7521881 (このIDを非表示/違反報告)
小学7年生(プロフ) - たけのこさん» たけのこ様、コメントありがとうございます!お返事が遅くなりすみませんでした。そう言っていただけてなによりです。こちらこそ、閲覧いただきありがとうございました! (11月26日 22時) (レス) id: 01b7521881 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:小学7年生 | 作成日時:2020年3月5日 14時