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「これ、明日新発売になるスイーツ。こっちはサラダとお弁当。こっちはね、」
「雅紀くん。」
「あ、これ？これはね、」
「雅紀くん！」
テーブルにところ狭しと並ぶのは、雅紀くんのコンビニの商品。どれも美味しそうだし、食べてみたいものもたくさんあるんだけど・・
「ちょっと・・多くない？」
「・・え？」
「さすがに、食べきれない・・よ？」
見開いた黒目をくりくりさせながら、しばらく私を見つめたあと。
ひきつった、怖い顔して大声を上げた。
「あぁー！やっちゃったー！！俺、何してんだろー！！」
頭を抱えて、髪をぐしゃぐしゃに掻いて。
大きなため息。
ソファーに力なく座り込む背中が可哀想で、慌てて私も隣に座る。
「そ、そんなに落ち込まないで！ね？」
「俺さぁ・・Aちゃんが元気ないかもって思っても、どうしたら元気になってもらえるかわかんなくて・・」
顔を覆ってる指のすき間から、私を見つめる瞳が潤んでみえる。
もういい歳なのに、可愛いと思った私。
もう、感覚がぐちゃぐちゃに壊れてるみたい。
「いい歳したおじさんが！泣かないの！」
頭を撫でてあげてる、私の手。
雅紀くんの細くて柔らかい髪に引っ掛かるほど乾燥してる、歳をとった指先。
もう、女の欠片もない。
そりゃあ、みっともない態度しかとれない訳だ。
今度は私がため息、そしたら肩の力がまた抜けて。自然と口角が上がる。
雅紀くんにたくさん助けてもらってる。
「雅紀くん、ありが、」
「Aちゃん。」
「・・へ？」
「そーゆーとこ、男にみせちゃダメだよ。」
「雅紀くん？何して、」
「弱ってるとこ、突っ込みたくなっちゃう。」
また抱きしめられる。
でもさっきとは違う。
あったかくて、優しい。付き合ってたときと、同じ感覚。
「Aちゃんを傷つけたのはホントだし。でも彼氏と上手くいってほしいって思ってたのもホントだよ？でも・・ホントに好きだったら、上手くいってるなら、俺の言葉なんかで壊れたりしないっしょ？」
いきなり的を得たことをいうよね。それも変わってない。
「俺と、やり直さない？」
突拍子もないことを言い出すのも、変わってない。
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作者名：蒼しょこら
| 作成日時：2019年6月5日 13時
